2022.01.17 フィルムの上に半導体回路、東レが開発無線通信のICタグなど期待

水分を検知するセンサー

フィルム上の半導体回路フィルム上の半導体回路

高級品など「偽物」防止にも

 物流の現場で無線ICタグ活用が広がり、さまざまな技術開発が進む。そうした中、東レは17日、柔軟なフィルムの上に半導体回路を塗布形成し、 RFID (Radio Frequency Identification)で通信できることを発表した。業界で初めての取り組み。来年度からの実用化を目指している。

 東レが活用するのは、カーボンナノチューブ(CNT)。髪の毛の数万分の1の細さで、この表面に半導体ポリマーを散りばめるように配している。そうした半導体CNTを使い、フレキシブルなフィルム上に半導体回路を形成する。

 実現すれば、物流網の中で物品を管理したり、高級酒のボトルなどに貼って偽造品・模造品を防止したり、といった用途が期待できる。また、センサーにもなり、水分が検知できることから、おむつセンサーとして介護施設で活用したり、薬がきちんと服用されているかどうか確認したり、といったニーズを見込む。

 30年には100億円規模のビジネスに育てたいという同社。こうした新技術も集める展示会「nano tech」(26~28日、東京ビッグサイト)でお披露目する。
(18日付電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します。)