2022.02.15 JERA、国内で太陽光開発へ ウエストHDに資本参画、3月末に最終合意
JERAが参画する台湾での洋上風力発電プロジェクト
5年で100万kW以上
東京電力グループと中部電力が出資する発電会社、JERAは、太陽光発電設備大手の「ウエストホールディングス(HD)」に資本参画すると発表した。両社は太陽光発電開発などについて業務提携を結び、JERAの火力発電所跡地などを活用し、今後約5年間で太陽光発電計100万kW以上の導入に乗りだす。3月末ごろには最終合意をまとめる。
JERAは火力発電所を中心とした国内最大の発電会社。国内に液化天然ガスなどの火力発電所27カ所、設備容量計7000万kWを保有する。
一方、ウエストHDが太陽光発電所の施工などに携わったのは6万5000件に及び、国内有数の実績がある。タイにも進出し、日系企業を中心に約100カ所で手掛けているという。
両社は、JERAの火力発電所の余ったスペースのほか、遊休地や耕作放棄地などで太陽光プロジェクトの検討を進める。建設地の選定や電力系統への接続、施工、メンテナンスなどをウエストHD側が担い、最終的にはJERAが所有者として運営し、売電などをしていく計画。ウエストHDの持つ全国のネットワークや優れた開発能力を、JERA向けの施設に「迅速かつ着実に開発できるよう最大限に生かしてもらう」(JERA)合意だ。
JERAは、海外では台湾で洋上風力に参画するなど、風力を中心に再エネ電源約148万kW(2021年12月時点)を持つ。国内では、秋田県沖や山形県沖などにおいて洋上風力の環境アセスメントなどを進めているが、太陽光にはこれまで参入していなかった。
JERAが公表した計画では、今回の提携で22年度中に20万kWを導入する予定。翌23年度には、さらに20万kWを設置して倍増させる。24、25年度に各25万kW積み増して、累計で90万kW(25年度)に増やす。26年度中には累計110万kWにまで到達させる想定で、この計画が実現すれば、JERAは太陽光発電に限っても、国内で最大規模の事業者になる見込みだという。
ほかにも、両社間で太陽光による電力を売買して融通し合ったり、国内外で第三者向けに屋根置きシステムの提供や、太陽光関連サービスを共同提案する事業を進めたりすることも合意している。今後、具体的な詰めの協議を行う。
JERAは、既存の石炭火力発電所で燃料にアンモニアを50%以上混焼させて二酸化炭素(CO₂)排出を削減させる技術開発を目指すことなどを発表している。「CO₂を排出しないゼロエミッションの火力発電所を目指し、発電量が変動する太陽光などと補完し合うことができればベストだ」(同社)。