2022.03.18 【九州・山口産業特集】オーイーシー宇宙関連ビジネスに力

森 会長

FWA活用で地域課題解決

 クラウドサービスなどを手掛けるICTサービス企業オーイーシー(大分市)は、AIやドローン、IoTなどの新規事業にも積極的に取り組んでいる。

 同社は2月に、衛星通信ビジネスなどを手掛ける理経と、低軌道衛星や宇宙VRなど宇宙関連ビジネスと、長距離無線LAN(FWA)の活用による地域課題解決、相互技術支援を目的に戦略的業務提携を締結した。

 オーイーシーの得意分野であるデータ分析、システム開発などのスキルを活用することで、宇宙関連ビジネス全般の創出、FWAを活用した土砂災害・河川氾濫といった防災など、地域課題に対する提案を積極的に行っていく。

 理経は、VRを活用した火災時の避難方法をシミュレーションできるコンテンツを作成している。オーイーシーでもVRコンテンツを活用し、観光活性化へ共同プロジェクトの立ち上げも視野に入れていく。

 大分県は2020年4月、米国の人工衛星打ち上げ企業ヴァージン・オービット社と大分空港を宇宙港として活用するパートナーシップを締結。22年に小型人工衛星の打ち上げを目指している。大分県内企業を中心に21年2月、宇宙関連産業・サービスの創出や人材育成などに取り組む一般社団法人の「おおいたスペースフューチャーセンター(OSFC)」が設立され、オーイーシーの森秀文会長が理事長を務める。

 大分港が宇宙港に選ばれ、「宇宙ビジネスは夢ではなく、実現できるものへと近づいた。さまざまな産業が活性化する可能性を秘めており、大きな期待を抱いている」(森会長)と、新ビジネスの創出とともに長期的な視点で街づくり、仕事づくりを目指している。

 北九州市立大学との衛星データ関連研究では、「SAR衛星観測データを用いた土砂災害検出プログラム」で、より早い人命救助に向け、高速画像処理技術の可能性を検証している。

 今後も大分発の宇宙ビジネスの取り組みへ、産官学での「共創」を通じ、宇宙港を中心とした産業などの盛り上げに尽力する。