2022.05.03 東京ガス、電力逼迫にデマンドレスポンス節電、10万世帯参加目指す
東京ガスは、電力需給の逼迫(ひっぱく)に対応するため、電力小売りしている顧客に自発的な節電を促す「デマンドレスポンス」の取り組みを7月から本格的に展開すると発表した。昨年夏から実証的に実施してきたが、今後は通年で協力してもらい、参加者も従来の2倍以上の10万世帯程度を目指す。
デマンドレスポンスは、天候などで変動する電力供給に合わせるため、需要面で柔軟さを保つための仕組み。3月下旬には悪天候などが重なった影響で、政府が初めて「需給ひっ迫警報」を発令したばかりだ。
ノルマなし
東京ガスは、電力の需給逼迫が予想される前日に、参加する顧客に時間帯などを通知。当日、その時間帯にエアコンの設定温度を変えたり無駄な照明を消したりして節電に協力すれば、通常の使用量から減らした分だけ、後日、節電ポイントとして還元する。「ノルマなどは特にない」(東京ガス)といい、気軽に参加できる。
2021年度は夏場に3万7000世帯、冬場で4万1000世帯が参加。合計約140万kWhの節電ができたという。
7月からは、10万世帯の参加を目標に、会員サイトなどで周知して協力者を募る。夏冬の通年で参加してもらう。来年度以降も協力できる。
今後、家電製品のリモコンなどを遠隔で操作し、エアコンのオンオフや設定温度を変更して節電する実証も検討していく。
同社は、デマンドレスポンスについて「参加世帯をできるだけ増やしたい。逼迫時などでも安定供給につながる」と期待を込める。
再エネ企画も
また、同社は4月中旬に、電力小売り契約が300万世帯に到達したことを明らかにした。16年4月の電力小売り参入後、一般家庭を中心に都市ガスとのセット販売などが好調で、19年8月には200万世帯を超えていた。
これを契機に、「顧客と一緒に環境について考える」(同社)企画として、契約している全顧客に、実質再エネ100%の電気を1日分だけ供給する。「環境の日」である6月5日限定。再エネ電源由来の電力と証明する非化石証書などを使って実質再エネ100%を実現した電力で、この企画により、排出される二酸化炭素(CO₂)を推定6000~7000トン削減する効果があるという。
同社で初の取り組みとなる。追加費用などはなく、通常の電気と同じように使用できる。「契約が300万件に到達し、規模もかなり大きくなってきた。より社会的責任を感じ、脱炭素という社会課題に対して顧客と一緒に取り組むという情報発信をしていきたい」(同社)。