2022.05.12 電子化に合わせ車載用部品開発加速自動車やロボット用などセンサーの技術開発も進展

車載安全用途向け3225サイズ差動出力水晶発振器(日本電波工業)

超低侵襲型圧力センサー(TE Connectivity)超低侵襲型圧力センサー(TE Connectivity)

 自動車の電子化・電動化が進展している。電子部品・デバイスメーカー各社は、「CASE」のメガトレンドに照準を合わせた新たな車載用部品開発を加速させている。車載5G(第5世代移動通信規格)に対応する技術開発も進む。また、電子機器・装置の高性能化を支えるデバイスであるセンサーの技術開発も進展しており、自動車やロボット、IoTなどの成長分野に向けた新製品開発が相次いでいる。

自動車用部品技術

 世界の自動車市場ではEVシフトの加速が顕著で、自動車メーカー各社の電動車事業強化策も相次ぎ公表されている。さらに昨今の原油高騰もEV化に拍車をかける可能性が高い。電子部品各社もこれらの動きを見据え、xEV用電子部品・モジュールの技術開発をより強化している。

 EV/PHVなどの電動車では、一充電当たりの航続距離増大が重視され、これらに対応するリチウムイオン電池(LIB)などの蓄電デバイス開発が進展。インバーターやコンバーター、駆動モーター周り向けに大電流・高耐圧対応部品の開発が進められている。

 世界の自動車業界では、欧米系や日系を中心に、自動運転車(自動走行レベル3以上)の本格実用化に向けた開発が急速に進んでいる。自動運転の実現には、信頼性の高い通信や高精度な物体認識、車両制御、AI/エッジコンピューティングを含む情報処理、セーフティー技術、3次元地図データなどさまざまな技術の融合が必要。極めて高い信頼性も要求される。部品各社は、これらに向け、センシングデバイスや通信制御デバイス、撮像系部品、大容量高速伝送デバイスなどの開発を活発化させている。

 安全系では、ミリ波レーダーやV2Xモジュール、LiDAR(ライダー)、高精細カメラなどの開発が進む。LiDARは機械式に加え、小型化やコスト面で優位なMEMS式の技術開発も本格化している。カメラは、2メガピクセルなどの高画素化や5ギガbps高速画像伝送などへの対応デバイス開発が進む。

 将来の自動車は、情報通信機能の高度化により車両自体がIT端末であるコネクテッドカーへの進化が見込まれる。車両の状態や周囲の道路状況などのさまざまなリアルタイム情報を取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値の創出が期待されている。

 具体的には、事故発生時の自動緊急通報システムや走行実績に応じて保険料が変動するテレマティクス保険、盗難車両位置追跡システムなどが実用化され始めている。電子部品各社は、これらに向けたセンサーや通信デバイス、位置情報部品、警報音デバイスなどの開発を活発化させる。

センサー技術

 車載センサーの用途は、ADAS/自動運転関連をはじめボディー制御系、パワートレイン系、xEV用など幅広い。今後も車の進化に伴い、車1台当たりのセンサー搭載数量は右肩上がりの推移が予想される。

 ボディー系では、高精度なガラス曇り検知センサーによる快適性向上と燃費改善が提案されている。車載用センサーは、過酷な使用環境での長期使用に対応するため、125度対応などの高耐熱性や優れた耐振動性能も重要となる。

 産業用ロボットには、荷重検知用の圧力センサーや関節角度検出用のポジションセンサー、姿勢制御用のジャイロセンサー、加速度センサーなど多様なセンサーが搭載される。センサー各社は、MEMS技術や高度なパッケージング技術を駆使することで、超小型かつ高分解能のセンサー開発を追求する。

 5G化が進むスマートフォンでは、多様なセンサーの標準搭載が進み、超小型センサーの需要を押し上げている。