2022.06.08 【ITサポートサービス特集】富士通コミュニケーションサービス〝伴走型〟サービスを進める、コンタクトセンターをフルクラウド化

田辺 統括部長

佐々木 部長佐々木 部長

 富士通コミュニケーションサービスは、企業と顧客との接点を改善し顧客体験価値(CX、カスタマーエクスペリエンス)を最大化するための支援を加速する。CX実現に向け社内コンタクトセンター基盤のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、このほどフルクラウドによるコンタクトセンターの運用を始めた。顧客のCXに対する課題に柔軟に対応していく。

 この数年、顧客エンゲージメント(企業と顧客との信頼関係)向上を目指す機運が高まっている。いち早くCXに着目した同社は、主力のコンタクトセンター運用で培ったノウハウを体系化した「デザイン・フォー・CX」を提供するなど、顧客接点の付加価値向上を支援してきた。企業とエンドユーザー(企業の顧客)双方のパートナーになることを目指し、共に歩みながら支援する〝伴走型〟サービスを進めている。

 コロナ禍も3年目に入る中で今回、環境変化に柔軟に対応できるようコンタクトセンター基盤をクラウド化した。フルクラウド化することで、企業のCXに対するさまざまな要望に対し柔軟な支援ができるだけでなく、センターで働く従業員の負荷を最小限にできる。

 田辺護・第一CXビジネス本部サービスインテグレーション統括部長兼運用マネジメント部長は「CS(顧客満足度)を高めるにはES(従業員満足度)向上も重要」と話し、オペレーターの働く環境の改善も重視した。採用したのは米ジェネシス社のクラウド基盤で、企業に対しての要望が多様化する顧客に対し柔軟なサービスが提供できる。

 エンドユーザーが企業に対し問い合わせをする際には、個々人に合ったコミュニケーション手段で課題を解決し要望に応えることが重要だが「従来型のセンター基盤では、顧客に合わせた柔軟なサービスが簡単に提供できなかった」(田辺部長)。新センター基盤により、顧客が望む接点を速やかにつくれる上、対応するオペレーターも柔軟に働けるようになる。

 同社は全国で約4000人が顧客サービスに従事し、うち約600席が同社サービス基盤上で運用している。2021年10月から自社基盤のクラウド移行に取り組み、22年4月からセールスマーケティングサービス部の60席で本稼働を始めた。まず富士通グループの支援を進め、今年度中に約600席のクラウド化を進めていく。

 クラウド化することで拠点に関係なく同様のサービス展開ができるようになる。BCP(事業継続計画)にも貢献する。センター運用も複数拠点で並行できれば、万が一の災害時にもサービスを止めずに済む。

 佐々木英理香部長は「テレワークも含め柔軟な運用を進め、本社だけでなく九州など他拠点へもノウハウを横展開していく」と話す。場所を選ばず付加価値の高いサービスができれば、首都圏だけでなく地方企業ともより近い場所で伴走型の支援ができる。

 今後はデザイン・フォー・CXとクラウドセンター基盤を組み合わせた付加価値の高いサービス展開に取り組んでいく。「人工知能(AI)を組み合わせた支援や顧客企業のセンター高度化なども提案していく」(田辺部長)計画だ。