2022.06.14 地熱発電計画に三菱マテ北海道・函館で参画 レノバのプロジェクト

還元井を見つけるための掘削調査を行う設備

 再生可能エネルギー専業の発電事業会社レノバは6日、北海道函館市恵山地域で進めている地熱発電所開発プロジェクトに、秋田県などで実績を持つ非鉄大手の三菱マテリアルが参画したと発表した。

 来年度には噴出する熱水量などを基に発電能力を確定させる試験も計画しており、同社の知見を生かしていく。

 レノバが中心となり、国の調査などでポテンシャルの高かった恵山地域で2015年から本格調査を開始した。地下の温度が周囲に比べて非常に高く、市街地からのアクセスが良好だったことなどから事業化に向けて動き出し、16年12月、はこだて恵山地熱(東京都中央区)を設立。仮噴気試験などを続けてきた。

 20年度までに、地中から熱水などを取り出す生産井の適地を見つけ、さらに22年4月から始めた調査では発電後に熱水を戻す還元井についても調査、確保する。23年2月まで続け、順調に進めば、23年度からは熱水などを噴出させて実際の発電能力などを確定させる調査に入る。

 今回、はこだて恵山地熱に出資した三菱マテリアルは、秋田県湯沢市の大規模施設、山葵沢地熱発電所にも参画。グループの資源探査技術などを活用し、国内で70年代ごろから地熱発電開発を手掛けてきた。

 恵山地域では生産井の調査が順調に進んだことに加え、電力を送電する系統接続面も確保できているという。こうした背景から、同社が参画したとみられる。

 レノバは、初めてとなる地熱発電の建設に熊本県南阿蘇村で乗り出している。「南阿蘇湯の谷地熱発電所」で、12月から営業運転を予定。設備容量は約2MW、年間発電量は約1480万kWhを想定する。

 ほかにも国内数カ所で地熱発電の検討を進めているという。