2022.06.15 【JPCA Show/JISSO PROTEC特集】 実装機の動向各社がスマート化を推進

進化を続けるスマートファクトリーに関心が集まる

 ドイツが第4次産業革命に位置付ける生産革新「インダストリー4.0」を2011年に提唱して11年が過ぎた。IT技術を駆使し、製造業を中心にさまざまな変革を促そうとする概念だが、同様のコンセプトで日本は「Society5.0」、米国は「インダストリアル・インターネット」、中国も「中国製造2025」など各国で官民挙げて推進している。

 インダストリー4.0を具体化したのが「スマートファクトリー(smart=賢い、factory=工場)」でIoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットなどの技術を活用した生産システムにより、製造業の生産性を革新的に向上させ、最終的には工場の無人化、全自動生産化を実現する。最近は「DX(デジタルトランスフォーメーション)」がもてはやされているが、製造業のDXがスマートファクトリーと言える。

 SMT(表面実装)業界は、他業界に先駆ける形でスマート化を推進してきた。SMTラインの装置間でデジタルデータをやり取りするM2M(Machine to Machine)技術による製造工程の「見える化」で、生産現場の課題を明確化することから始まり、生産スケジュールに合わせた電子部品の補給、次生産への段取り替えの自動化、自己診断機能による予知保全の実現など進化してきた。部品や部材などサプライチェーンとの連携も試行されている。

デジタルツイン技術活用など

 さらにフィジカル(物理的)なリアル空間の情報をリアルタイムでバーチャル空間に送り、その空間内にリアル空間の環境を再現するデジタルツインの環境を活用したモニタリングやシミュレーション技術が導入されている。デジタルツイン技術によって、バーチャル空間でモデル化されたSMTフロアでは、AGVや部品自動倉庫の台数、作業者数、作業動線など工程ごとにパラメーター設定が可能となり、自動化設備の導入の事前確認ができる。

 スマート化が始まった当初は従来のSMTラインのみだったが、前後の工程まで自動化しようとSMTラインに部品を供給する自動倉庫や、大型部品など手作業で後付けしていた工程を自動化する設備も組み入れたスマート化が進んでいる。このためにオープンイノベーションによる協業がグローバルレベルで行われている。

 また、FA各社が推進するスマート化とも連携し、フィールドバスなどのネットワークやセンサー、制御プラットフォームなどとの共通化の動きも増えている。MES(製造実行システム)と、上位のERP(統合基幹業務システム)との連携が進む。

 スマートファクトリーは、ものづくりに革新をもたらす。完全自動・無人化工場の実現が近い。