2022.06.28 【複合機&プリンターソリューション特集】電帳法ソリューション電帳法施行で2年の猶予期間、デジタル化促進を提案
改正電帳法も複合機で対応
デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展の遅れの一つと言われているのが、紙の電子化。今年1月から電子帳簿保存法(電帳法)が施行され、2年間の猶予期間はあるものの、企業間の電子での送信・受信(電子取引)は、原則、電子データでの保存が義務付けられるようになった。事務機各社では、こうした法制度の改正の機会を捉え、アナログからデジタルへの移行を促進するソリューションを積極的に打ち出している。
電子化の流れを促進するものと期待されているのが、改正電帳法への対応。1月から施行されたが、移行には2年間の猶予期間が設けれた。当面、電子データで受け取った書類のデジタル化義務は、猶予される。しかし、この猶予期間を生かした着実なデジタル化の進展こそ求められている。
電帳法は、国税関係帳簿書類を電子データとして保存する法律。今回の改正では、従来の所轄税務署所長の承認などの「承認」制度の廃止やスキャナー保存の要件緩和などの一方、電子取引データの厳格な保存が盛り込まれた。電子契約、EDI(電子データ交換)取引、メール添付、ファクス受信文書などの電子取引の電子データ保存が義務付けられ、電子取引データの紙出力などの保存ができなくなる。
中小企業へのデジタル化支援に注力している事務機メーカーでは「電帳法改正を中小企業のデジタル化のトリガー」として、ソリューション提案を活発化している。
リコーは、企業間取引に用いられるさまざまな証憑(取引関係書類)の処理業務プロセスを効率化し、企業の生産性を向上するソリューションとして、「RICOH 証憑電子保存サービス」を開始した。リコージャパンとリコーグループのメイクリープスが、電帳法の改正に対応したソリューションを提供。クラウド型請求管理サービス「MakeLeaps」、クラウド型 AI 帳票認識 OCRソリューション、企業間取引デジタル化ソリューションで、電帳法対応機能を強化したものだ。
富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、クラウドストレージサービス「Working Folder」に、国税関係書類の授受・保存が可能な「Working Folder エビデンス管理オプション」を提供。電帳法の改正要件に準拠した運用を支援するとともに、国税関係書類の授受から保存までの一貫した管理が可能だ。
同社の文書管理ソフト「ArcSuite」「DocuShare」および、クラウドサービス「Working Folder」の三つ商品が、日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」「電子取引ソフト法的要件認証」「電子書類ソフト法的要件認証」という3種類の認証をそれぞれ取得した。
今回の認証取得により、経理業務を行う顧客の電帳法への対応力を高め、国税関係書類にまつわる業務のDXを促進する。
さらに同社のドキュメントハンドリング・ソフト「DocuWorks」などと組み合わせ、導入時の初期環境の構築、電帳法対応のための業務手順作成、導入後のアフターフォローなど幅広く対応していく。
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)では、経営コンサルティングなどで多くの顧客を持つNIコンサルティングと戦略的業務提携を結び、電帳法改正に対応する支援サービスを開始している。NIコンサルティングの中小企業向けグループウエアに対して、キヤノン製MFP(複合機)からファクス文書を直接保存可能なファクス受信連携強化を提供する。同社では、得意領域であるデジタルドキュメントサービスで電帳法対応を強化している。
コニカミノルタジャパンでは、電子取引のデータ保存に対応した「電子取引スタートパック」を提供している。同社の複合機とサーバーが一体となった「Workplace Hub Smart(ワークプレースハブ スマート)」を組み合わせることで、電子ファイルのサーバー運用からオンサイト・リモートによる保守体制まで構築し、電帳法の改正にともなう業務への対応と生産性向上を支援している。
改正電帳法は、デジタル化の好機。中小企業のデジタル化促進の起爆剤として期待されている。