2022.07.28 【半導体/エレクトロニクス商社特集】 エレクトロニクス商社、多彩な戦略で事業拡大へソリューション事業を強化、新規商材や海外も拡大

単品からシステムへ--ソリューション事業を強化するエレクトロニクス商社

 エレクトロニクス商社の市場環境は車のEV化、IoTの進展、工場のスマート化など新たな変化の時代を迎えている。一方、長期化した半導体や部材不足で調達に追われている現実もある。各社はソリューション事業の強化、新規商材の拡充、海外事業拡大など、さまざまな戦略で事業の拡大を目指す。

 マクニカは、人工知能(AI)とIoTを活用したデータ・サービス&ソリューション事業を展開し、そのためのセキュリティー、AI、脳科学といった最先端テクノロジーの研究・R&D投資も積極的に行っている。丸文は、これまでデバイスとシステムの2事業にソリューション事業を新たな領域に加え、社内組織を立ち上げた。

 菱電商事は、FA・冷熱・ビル・半導体の4基幹事業に、ICT技術を融合した幅広い事業領域で新しい価値の創造を目指している。伯東は「ビジネスイノベーション推進事業部」を新たに組織し、従来の単品で販売するビジネスからモジュールでの販売へと事業構造の転換を加速する。

 東京エレクトロンデバイス(TED)は、EC事業(半導体・電子デバイス)、PB事業(プライベートブランド)、CN事業(コンピュータシステム)の3事業を主力に、17、18年に子会社化したTED長崎、ファーストの両社を加えて「技術商社機能を持つメーカー」へと事業構造の転換を進めている。

 立花エレテックは「安定成長で200年続く企業」を目指して、ハードにシステム技術を組み合わせた提案による営業力・技術力強化に取り組んでいる。カナデンは、FAシステム、ビル設備、交通、社会インフラ、半導体・デバイス、映像・情報通信の6事業を柱とする。22年度に新設したソリューション営業部による成果が上がってきた。

 サンワテクノスは、新たに30年に向けた長期ビジョンを掲げ、最重要経営指標(KGI)を営業利益額にフォーカスして24年度営業利益70億円(売上高1950億円)に設定した。

 菱洋エレクトロは「半導体・デバイス」と「ICT・ソリューション」を主要事業領域とする。独自性とスピード感のあるソリューションビジネスの強化で「新たな商社像」への変革に取り組む。中国製半導体など商材を拡充する。

 たけびしは、産業機器、半導体・デバイス、社会インフラ・医療、情報通信などにおける「トータルソリューション技術商社」として、時代の最先端で挑戦を続けている。ミカサ商事は、デバイスソリューション、システムソリューションの2事業を柱として展開している。

 岡本無線電機は、搬送系システムやロボットなどを提案する自動車はじめ医療、エネルギーの3重点分野の拡大に取り組む。

 飯田通商は、EMS事業を拡大する。基板実装事業を主力とするタイ工場をグローバルハブに位置付け、東莞工場はタッチパネルの貼り合わせ事業を、ミャンマー工場は電子データ加工事業を行っている。明光電子は、幅広い仕入れ先やパートナー企業とのネットワークを生かし、さまざまな技術サポート、開発受託、購買代行、受託製造なども手掛ける。

 シナダインは、大手にはない小回りの利く機動力を強みに、台湾はじめ米国、欧州、豪州など海外半導体、光エレクトロニクス関連の特徴ある商材の拡充によって事業を拡大している。

 リバウンドエレクトロニクスは、英国に本社を構える電子部品・半導体の独立系代理店。海外のネットワークを生かし、顧客が求める製品をそろえる調達力と日本の商習慣に合わせて対応できる柔軟性を訴求する。コアスタッフは、Web販売と従来型の営業を組み合わせたハイブリッド営業を強みに事業拡大を続けている。エム・アールエフ(M・RF)は、米ミニサーキット社のハイパワーアンプを活用した加熱用半導体式発振器などの提案を強化する。