2022.08.04 コンデンサー技術が高度化小型・高容量・高耐熱など特性に優れた製品開発

静電容量4.3μFの自動車向け1005MサイズMLCC(村田製作所)

 コンデンサーの技術が高度化している。自動車や高機能モバイル端末、産業機器、省エネ家電などの成長分野向けに、機器の小型・高性能化を支える積層セラミックコンデンサー(MLCC)やアルミ電解コンデンサー、タンタルコンデンサー、フィルムコンデンサーなどの新製品開発が活発となっている。コンデンサー各社は、小型・高容量、高耐熱、低抵抗、高信頼性、長寿命などの特性に優れた新製品開発や製品バラエティー拡充を推進する。

積層セラミックコンデンサー

 積層セラミックコンデンサーは、小型・大容量タイプの開発に力が注がれる。スマートフォンなどの高密度実装分野では、製品サイズが1608サイズ(1.6×0.8ミリメートル)から1005サイズ(1.0×0.5ミリメートル)、さらに0603サイズ(0.6×0.3ミリメートル)、0402サイズ(0.4×0.2ミリメートル)にシフト。より小型の0201サイズ(0.25×0.125ミリメートル)品もスマホ用モジュールなどで採用されている。基板内蔵化への対応では、厚み0.064ミリメートルなどの極薄MLCCも製品化されている。

 大容量化では、誘電体セラミック粒子を均一に微粒子化し、薄層で多層化することが必要。誘電体の厚みを1マイクロメートル内外に薄くし、多層積層することで数百μFが実現されている。

 車載用では、縦横反転型0501サイズ品も開発されている。通常のMLCCに対し電極方向を縦横90度反転させた構造で、電流ルートを太く低くすることで、ESLやインピーダンスを低減する。

アルミ電解コンデンサー

導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー(日本ケミコン)

 アルミ電解コンデンサーは、低コスト、小型、高容量、高信頼性などの特徴から、民生機器のほか、自動車や産業機器などさまざまな用途で需要が増加している。

 通常のアルミ電解コンデンサーは、電解質に電解液を使用するが、近年は導電性高分子タイプ、ハイブリッドタイプ(導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー)の開発が進展している。

 電解液タイプは伝導機構がイオン伝導のため、ESRはほかのタイプに比べて大きい。だが酸化アルミニウムの欠陥部を修復する作用があるため信頼性が高い。車載用として150度対応品、産機向けでは700V高耐圧品などが製品化されている。

 導電性高分子タイプは車載用に急速に需要が増大している。伝導機構は電子伝導のため、低ESLで高リプル電流対応が特徴。ハイブリッドコンデンサーは、電解質に電解液と導電性高分子の両方を使用する。電気特性は電解液タイプと導電性高分子タイプの中間的な位置付けだが、自己修復性を有することで、高電圧品の信頼性が向上。定格電圧80Vなどの高耐電圧化により、車載での採用が急増している。さらなる高リプル電流化追求なども進んでいる。

 チップ型アルミ電解コンデンサーの高耐熱性・長寿命化も追求されており、150度耐熱・2000時間保証品や125度耐熱・5000時間保証品などが市場投入されている。

タンタルコンデンサー

 タンタルコンデンサーは、小型・大容量・長寿命などを特徴に、パソコンやタブレット端末などのデジタル機器での採用が増加している。最近は、タンタル粉末の微細化による大容量化とともに、1005サイズなどの小型化も進展。小型・薄型化により、スマホなどへの搭載も可能になっている。

フィルムコンデンサー

 フィルムコンデンサーは、電源回路において、平滑用、サージ吸収のフィルター用、スナバ用、ノイズ対策のXおよびYコンデンサー用などに用いられる。使用する誘電体フィルムでさまざまな特徴を持たせることで、さまざまなアプリケーション向けに最適化した製品が開発され、xEⅤ向けや新エネルギー関連などでの需要が拡大している。