2022.08.09 使用電力、環境価値で実質再エネカーボントレードが証明書発行
発行する再エネ電力証明書のイメージ
環境コンサルティングなどを手掛けるカーボントレード(東京都港区)は、通常の電力に必要な分だけ再生可能エネルギーに由来する環境価値を割り当て、実質的な再エネ電力にして証明書を発行する事業に乗り出した。電力の切り替え契約などは必要なく、既に使用した電力に事後的に適用できるオンデマンドなサービスだ。
同社が活用するのは「J-クレジット制度」。企業などが省エネ設備を新設したり再エネを導入したりして削減できた二酸化炭素(CO₂)排出量を、国が認証する制度だ。
中でも国や自治体などの補助金を利用して住宅の屋根上などに設置された太陽光発電では、家庭内で使用した自家消費分の環境価値が残る。
1世帯分ではわずかだが、自治体などが多くの世帯を取りまとめて集約することでクレジット化され、取引され始めている。「これまでは眠っていた環境価値」(同社)だ。
同社は4月の入札で、全国の住宅太陽光の約3万6000軒分約8334万kWhに相当する環境価値をまとめて取得できたことから、今回の事業を始めた。
一般的に企業などが再エネ電力を使用するには、電力契約の切り替えが必要になる。ただ、全ての電力供給が切り替わるため、コストが高くなりがちだった。同社のサービスでは、あらかじめ設定した予算の範囲に応じてクレジットを購入できる。少額でも、必要な分だけ実質再エネ電力にすることができるため、中小企業などでも導入しやすいという。
例えば、特定のエコ商品を製造するために稼働させた設備分の電力だけを実質再エネにしたり、環境貢献イベントの開催で使う電力だけに割り当てたりすることができる。
また、J-クレジットの仕組みでは、CO₂削減量を厳密に認定しているため、割り当てた電力分のCO₂排出をカーボンオフセットできる。
証明書は、中小企業や自治体などが使用電力を100%再エネで賄うことを目指す枠組み「再エネ100宣言 RE Action」などに適応しているほか、自社のPRにおいても生かせる。
同社は100社以上への販売を目標にする。日下尚取締役は「分野ごとに特化した代理店を増やし、幅広い企業に活用してほしい」と話す。