2022.08.25 【化学材料特集】積水化成品工業「テクポリマー」の用途拡大を推進

テクポリマー

 積水化成品工業は、独自の重合技術を用いたポリマー微粒子「テクポリマー」の用途拡大を進める。

 テクポリマーは、スチレンやメタクリル酸メチルなどを主成分とするポリマー微粒子。液晶ディスプレーやLED照明カバーなど光拡散材としての光学用途のほか、塗料のツヤ消し剤や、化粧品の触感に変化を与える添加剤としてなど、幅広い分野で用途に合わせてカスタマイズした製品を提供している。

 さらに、現在注目しているのは、基板の加工プロセス用途など電子部品分野への応用である。微粒子内部に中空の構造を有することで、低誘電性の付与が可能となり、電子材料分野への展開が見込まれるためだ。平均粒子径はナノオーダーからサブミクロン径、さらに数十マイクロメートルまでと幅広い品ぞろえを準備。比誘電率、誘電正接とも、モデル上は約20%近く低下する。また、シェル層が樹脂構造のため、比重が軽くかつ柔軟で、調液時のハンドリング性の向上も期待できる。中でも「NHグレード」はナノサイズのため、透明性が必要な用途に好適。

 5G進展や自動車の電装化が加速する中、高周波向けの電子部品のニーズが高まっており、高機能化や小型化を目指し、素材を含めて検討を進めるデバイスメーカーなどのニーズを見込む。足元では加工プロセスで要求される耐熱性の向上なども図る。無機フィラーなどと置き換わるというより、一定の割合で併用されることを想定している。

 周辺部材にまつわるニーズも大きく変化する中、テクポリマーの特長を生かし、部品開発に寄与する取り組みを推進している。

 今後、テクポリマーは、接着剤・粘着剤への用途も想定。添加することで、ギャップ剤や応力緩和、低誘電化、光学特性の変化などの機能を付与できる。

 また、環境意識の高まりを背景に、同社のサスティナビリティーに対する取り組みの一環として「テクポリマーBIO」を展開。これまで市場投入した生分解性粒子「EF-A」「EF-B」に加えて、植物由来「EF-C」を新たに用意。バイオマス度(バイオマス割合=乾燥重量比)40%の微粒子で、バイオマスマークも取得した。