2022.09.14 【関東甲信越特集】神奈川県商組 「電気屋塾」で組合員を講師に 事例共有、業界の将来に力
吉川 理事長
神奈川県電機商業組合(吉川栄治理事長)が、家電業界の将来を見据えた講習会「電気屋塾」を定期的に開催し、組合員の事例共有を図っている。
8月30日には、今年度2回目を開催した。今回もオンラインとリアルのハイブリッド形式で行い、リアル会場の参加者への質問の投げかけや、チャット上に寄せられた質問への回答など、あっという間の2時間となった。
昨年から始まった電気屋塾。業界の10~20年先を見据えた講習で、組合員が講師となって事例紹介を行う。 神奈川商組の吉川理事長は「研修はスポット的に行うものだが、電気屋塾は一年を通してストーリー性を持って複数回開催する」と話す。
今回は、パナソニック系アークランド スター(横浜市南区、岩瀬守厚社長)の岩瀬孝子専務が講師を務めた6月7日の1回目に続くもの。
事例発表では、パナソニック系スセキ電気チェーン逸見本店(神奈川県横須賀市)の栖関泰宏社長が講師となって、「教科書に無い商品知識へのこだわり」をテーマに講義。カタログやマニュアルには載っていないが、お客に話すと喜んでもらえる、セールストークとして使える話などを披露した。
今回取り上げた商品知識の事例は、炊飯器や、IHクッキングヒーター、空間除菌脱臭機「ジアイーノ」を例とした次亜塩素酸、充電池「エネループ」。メーカーや仲間の電器店から教わった話をまとめた内容となった。「知っているのと知っていないのとでは、お客さまへの説得力が違う」と、栖関社長はより深みのある具体的な商品説明の大切さを強調した。
物価や電気代の上昇、高齢化で今までよりも購買意欲が低下する可能性もある中、説得力のある商品説明でお客の購買意欲を高め、「お客の笑顔を見たい」(栖関社長)。
また、栖関社長はお客の世代交代についての関係づくりも語った。お客が75歳を過ぎたあたりから、子どもが介入することが多くなってくるという。「娘・息子が出てきたら買ってくれない、とお客さまに対して心を閉ざしてしまうとお客さまは減る。閉ざすのではなく、娘・息子とつながることで新たなお客にできるのではと考えてからは対応を変えた」(栖関社長)。
高齢のお客が商品購入を検討していれば、子どもに許可をとったかどうかを尋ねたり、高齢のお客の身に何かあった時にはすぐ連絡できるように子どもの連絡先を教えてもらったりした。何か言いたいことが子どもからあれば、直接言ってもらえるように連絡先を渡すなど「お互いに連絡できる関係をつくるようにした」(栖関社長)。
長年付き合いのある高齢夫婦のお客の子どもが、今では栖関社長の一番のファンになった事例もある。USB充電のコードの挿し方が理解しにくい高齢のお客のために、裏表が分かるようにコードに印を書いた。使いにくさを解消できるような工夫を施すなど、「ちょっとしたことの積み重ね」(栖関社長)が、新たなお客の獲得につながる。
最後に、栖関社長は参加者に講義テーマのリクエストについて呼びかけた。第3回電気屋塾は10月18日、パナソニック系こやま電機(相模原市中央区)の小山美彦社長が登壇予定だ。
新規加入者獲得も
精力的に活動する神奈川商組は「商品勉強会も開催したい」とし、「良い組織になって、加入してよかったと思ってもらいたい」(吉川理事長)と、新規の組合員獲得に向けても働きかけを狙う。
9月16日には、でんかのヤマグチ(東京都町田市)の山口勉社長を招いての講演会も行われる。吉川理事長は「未加入の方も含め、多くの方に来てもらいたい」と意気込む。