2022.09.28 【関西エレクトロニクス産業特集】XR(AR/VR) 来訪価値向上や回遊促進へ 道頓堀などで実証実験

音声ARで観光案内

XRも各エリアで進むXRも各エリアで進む

 関西エリアでは、2025年に開催される大阪・関西万博や今後復活が見込める観光・インバウンド需要獲得に向けて、仮想現実などを作り出すXRの開発が進んでいる。観光地などでさまざまな拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を活用したコンテンツが登場している。

 NTTグループは、2025年大阪・関西万博で未来社会ショーケース事業の「大阪・関西万博バーチャル会場」などについて協賛すると発表した。

 NTTドコモが担当する大阪・関西万博バーチャル会場の提供では、オンライン空間上に夢洲会場を「空飛ぶ夢洲」として3D CGで再現。ARやVRなどのバーチャル技術を活用し、リアルとバーチャルが相互に連動するさまざまな取り組みを展開する。

 この春に大阪・道頓堀で開催されたのは道頓堀ナイトカルチャー創造協議会やJTB、NTTドコモが実施した観光DXの実証実験「道頓堀XRパーク」。25年の大阪・関西万博を見据え、道頓堀エリアの来訪価値向上や商店街の回遊促進を図り、観光客や地元の人々に道頓堀の新しい楽しみ方を提案した。

 エリアでは、道頓堀商店街などの街並みや風景にスマートフォンをかざすと1970年大阪万博当時の写真や大阪・関西万博のイメージ画像を見ることができるAR写真展を実施。観光客誘客のためには、道頓堀川にスマホをかざすと釣りざおが出現し、フィッシングゲームを楽しむことができるARフィッシングなどを用意。釣った魚の種類に応じて、道頓堀商店街のイベントに参画する店舗で利用できるデジタルクーポンも提供した。

 KDDIと芸術文化観光専門職大学、豊岡演劇祭実行委員会は17~19日、兵庫県豊岡市で開催された豊岡演劇祭2022で、城崎温泉を巡る音声ARを提供した。KDDIの高精度位置測位を活用し、観光名所に近づくと専用デバイスから没入感のある音声案内が自動で流れる。

 この技術は、KDDIなどが今年4月に沖縄・西表島で実施した高精度位置測位システムを活用して個々の視界に合った観光自動音声ガイドで実証されたもの。高精度GNSS測位を利用し、位置情報の誤差を数メートルから数センチメートルまで減少。対応アンテナが組み込まれたネックスピーカーなどを装着することで、音声ガイドを体験。体の向きに応じた観光案内など、ストレスを感じない精度の高い非対面型の音声ガイドを実現した。

 城崎温泉では、このシステムの一部を応用し、街並みを歩くだけでナレーターが語りかけてくれる案内ガイドを行うよう工夫。骨伝導イヤホンを使用することで安全性を確保。

 城崎温泉街御所の湯から城崎文芸館の約370メートル間で約20分の案内音声が流れ、一の湯などの名所の位置に合わせて自動で音声を再生。目の前に存在する人やもの(現実空間)をイヤホンから流れる音声(仮想空間)が拡張し、「まち」がストーリー仕立てで観光客に語りかける。

 NTTドコモが7月から展開する、デジタルと現実世界が融合した新しい世界を体験できる新感覚街遊びARサービス「XR City」は、大阪市や神戸市、淡路市で実施。大阪市の阪急三番街やHEP FIVEなどでは白猫プロジェクトのキャラクターが楽しめるARコンテンツを用意した。淡路市では兵庫県立淡路島公園アニメパーク「ニジゲンノモリ」で30日まで、ARを活用した観光ガイドロールプレーイングゲーム(RPG)を提供している。