2022.09.29 【部品メーカー・商社ASEAN特集】ニチコン マレーシア(ニチコン)、アルミ電解コンデンサーの需要増に応える

後藤 工場長

ニチコン マレーシアの工場外観ニチコン マレーシアの工場外観

 ニチコンは、創業32年目のニチコン マレーシア(スランゴール州バンギ工業団地)の増強を続け、増大するアルミ電解コンデンサーのグローバル需要に応える。新生産棟の建設、新セグメント生産の検討も始めた。

 ニチコン マレーシアに赴任して1年余りになる後藤裕一取締役工場長は「2021年に続いて22年もアルミ電解コンデンサー需要は旺盛だ。現在、ニチコン マレーシアは金額ベースで約50%、数量ベースで約35%がASEAN向け出荷。欧米やインド向け出荷も増えている。日本、中国の工場とともにニチコン マレーシアでもフル生産対応し、増産投資を続ける。21年出荷額の30%を超え、23年には34%になるとみている車載向け高付加価値品の需要にもしっかり応えていく」と話す。

 ニチコン マレーシアに18~21年度の4年間に、43億円超の設備投資を実施。22年度は18億6000万円の設備投資でアルミ電解コンデンサーの生産量をコロナ禍前の18年度に比べ約1.16倍に増やす。23年度も積極投資により、アルミ電解コンデンサーの生産量を18年度比1.21倍に拡大する。成長市場の車載向けアルミ電解コンデンサーは、22年度下期以降もチップ形、基板自立形の増産、リード線形オンボードチャージャーの生産に注力する。

 チップ形は、18年度に導入を始めた生産効率の高い巻き取り、含浸、組み立て一貫ライン機を増設。チップ形の約3割を一貫ライン機で生産し、22年度に17年度比1.5倍の生産能力増を図る。

 アルミ箔(はく)を除き、全体の68%まで引き上げた部材の現地調達率もさらに高めていく。

 増産対応で21年に比べ154人増員し、1313人となった従業員の登用、ダイバーシティー経営を進める。省エネルギー化もマレーシアの豊富な天然ガス利用のガスコージェネレーション設備を21年度に2基導入。使用電力の6割を賄い、導入前比約40%のCO₂削減を実現している。