2022.09.29 【電子部品メーカー・商社ASEAN特集】日系電子部品メーカー/商社 産業機器や自動車など事業の高付加価値化追求

 日系電子部品メーカーや商社のASEAN地区現地方針は、成長が期待される産業機器や自動車などの高付加価値分野に照準を合わせた展開を強化している。各社は非民生系分野向けやハイエンドな新製品の生産・販売比率を高めることで、事業の付加価値向上を追求する。

 日系電子部品メーカーのASEAN工場は、かつては日系AV機器を中心とした民生機器向けの生産が高いウエートを占めていたが、近年はASEANの需要構造変化に伴い、大きく生産品目が変革している。

 特にここ数年は、日系や欧米系などの外資系自動車メーカーやTier1のASEAN投資が増大し、タイやマレーシア、インドネシアなどでは車載用部品需要が増大しているため、日系部品工場でも、車載用部品を軸とした生産増強を進めている企業が多い。各社は、自動車業界が求める厳しい品質要求に応えるため、生産ラインの高度化に取り組み、高品質な生産活動に磨きをかけている。自動車業界の品質基準である「IATF16949」などの認証活動にも力が注がれている。

 ASEANでは、半導体産業の集積化も進んでいる。特にマレーシア北部のペナン地域などでは、欧米系をはじめとする主要半導体メーカーが数多く工場展開し、半導体の一大市場を形成しており、今後も半導体各社の巨大な設備投資計画がめじろ押しとなっている。このため、日系電子部品メーカーのASEANでの半導体プロセス用部品増産に向けた追加投資などの動きも活発化している。

 このほか、現地の電力インフラ需要増大などに対応した、パワー系電子部品の生産体制増強や生産品目拡大にも力が注がれる。民生系では、AV機器向け部品の生産比率が低下する一方で、エアコンなどの白物家電/住設機器向け部品の生産は、引き続き重要視されている。

 一方で、日系各社のASEAN工場でも、部材調達に関しては、中国からの輸入部材への依存度が高いケースが多く、安定的なサプライチェーンを構築する上での課題となっているが、各社は、新たな調達先の開拓や代替材への切り替えなどを進めることで、部材調達も含めた自己完結型の生産体制の構築を推進する。

 日系エレクトロニクス商社では、ASEANでの工場自動化・省力化ニーズの高まりに対応し、現地でのFA・自動化ソリューションの提案を強化。現地の工場の生産ラインで使用される電機品販売に加え、工場の生産管理の見える化や生産自動化に向けた提案強化のため、現地のエンジニアリング能力の向上に力が注がれている。