2020.01.10 テレビのグローバル開発競争新段階 ミニLEDに注目

ソニーは8Kの新製品を発表するとともに8K解像度に変換する画作りにおける技術力を訴求

シャープは8Kを中心にしたエコシステムを訴求シャープは8Kを中心にしたエコシステムを訴求

サムスン電子はマイクロLEDのザ・ウォールのほか、QLED 8Kに注力サムスン電子はマイクロLEDのザ・ウォールのほか、QLED 8Kに注力

LGはOLEDの4K、8Kと巻き上げられるOLEDを実演するとともに、ナノセルの液晶テレビや8KのミニLEDバックライトのテレビも提案したLGはOLEDの4K、8Kと巻き上げられるOLEDを実演するとともに、ナノセルの液晶テレビや8KのミニLEDバックライトのテレビも提案した

コンカはマイクロLEDの4Kと8Kディスプレイのほか、ミニLEDの8Kテレビを実演したコンカはマイクロLEDの4Kと8Kディスプレイのほか、ミニLEDの8Kテレビを実演した

四川長虹電器(CHANGHONG)はミニLEDの8Kディスプレイを展示四川長虹電器(CHANGHONG)はミニLEDの8Kディスプレイを展示

スカイワースは88V型8K OLEDを回転させながら提案スカイワースは88V型8K OLEDを回転させながら提案

ハイセンスは独自量子ドットの8K ULEDを実演ハイセンスは独自量子ドットの8K ULEDを実演

TCLは8K QLEDを前面に出すとともにミニLEDバックライトを訴求.TCLは8K QLEDを前面に出すとともにミニLEDバックライトを訴求.

 グローバルのテレビ開発競争は次の段階に入ってきた。高精細4K液晶テレビは当たり前の時代になり、現在は超高精細8Kテレビの商品化が加速。パネルは液晶に加え有機ELディスプレイ(OLED)が存在感を示すとともに、OLEDの対抗技術として超小型LEDのマイクロLEDや量子ドットなどの技術を使ったディスプレイが数年前から出てきた。さらにこの1年で注目されているのがミニLEDだ。

 米ラスベガスで7日(現地時間)開幕したCESでは主要テレビ各社が最新のテレビを発表。今年は4Kや8Kの液晶やOLEDテレビに加え、ポストOLEDとして開発が進む量子ドットやマイクロLED、ミニLEDの技術を採用したテレビが一気に増えてきている。特に中国メーカーのブースは8K、ミニLEDの文字が目立つ。

 OLEDの次の技術として注目されている量子ドットとマイクロLEDを使った液晶テレビはソニーがいち早く開発したが現状ではサムスン電子が大々的に展開。マイクロLEDでは超大画面8Kディスプレイ「ザ・ウォール」として訴求している。

 薄型テレビの市場を見ると、OLEDは唯一量産化しているLGディスプレーの独壇場だ。これに対しサムスンが量子ドットLEDとして「QLED」ブランドを構築し対抗する形だったが、ここにきてマイクロLEDよりも低コスト化できるミニLEDが拡大。中国メーカーの追い上げが一気に進む。

 今年のCESは日系メーカーではソニーが最新の8K液晶テレビ(85V、75V型)を発表。発売時期は未定だがより高画質に映像再現ができる処理エンジンに磨きをかけた。いち早く8K液晶テレビを商用化したシャープも8Kを展示。自社パネルと処理エンジンによる高画質再現だけでなく、8K撮影から編集、伝送、表示までの総合的な8Kエコシステムを訴求する。

 これに対し韓国2社はQLED(量子ドットLED)とOLEDで火花を散らす。サムスン電子は今回、マイクロLEDディスプレイ「ザ・ウォール」の家庭向けを発表するとともに、超狭額縁の「インフィニティ・スクリーン」を採用した8KのQLEDを実演。一方のLGは昨年から発売した8KのOLEDの製品群を拡充し88V型と77V型を発表するとともに、高精細画素を実現できるナノセル技術を使った8K液晶テレビ、ミニLEDによる8K液晶テレビを実演した。

 中国メーカーの追い上げも著しい。QLEDテレビを発売し昨年日本に本格参入したTCLは既に展開を始めているミニLEDバックライトの技術をさらに強化。ミニLEDバックライトで駆動するQLEDテレビを実演するとともに、8KのQLEDテレビを前面に出した。

 マイクロLEDでは康佳(コンカ)グループが236V型8KマイクロLEDテレビと、118V型4KマイクロLEDを実演したほか、8KのOLEDテレビや8KのミニLEDテレビなど幅広いディスプレイのテレビを用意した。

 四川長虹電器(CHANGHONG)はミニLEDの8Kディスプレイを前面に出したほか、創維数碼(スカイワース)は88V型8K液晶テレビを実演。ブースでは縦と横に回転させ映像を見せるデモを行ったほか、120V型8Kテレビも実演していた。

 日本でも展開するハイセンスは独自の4Kレーザーテレビを前面に出し100V型と75V型を実演するとともに、独自量子ドット技術による「ULEDTV」の4Kの新製品、8KのULEDテレビを実演した。

 米国ではフィリップスブランドなどのテレビを展開する船井電機はプライベートブースを設け、4K有機ELテレビのほか、ミニLEDの4Kテレビを公開。ミニLEDテレビの商品化について本格的な検討を進めていることを明らかにした。

 国内では4K液晶と4KのOLEDテレビが中心になっているが、グローバルではマイクロLEDやミニLEDの動きが活発になっており、今後日本でも動きが出てきそうだ。(ラスベガス=水品唯)