2022.10.12 【日本ロボット工業会創立50周年特集】創立50周年を迎えて 日本ロボット工業会 山口賢治会長
ロボティクスで持続可能な社会に向け会員一丸で課題解決へ
日本ロボット工業会は、1972年10月に産業用ロボット懇談会を日本産業用ロボット工業会に改組して発足以来、本年10月をもちまして創立50年を迎えました。
当工業会の定款では、その設立目的を「わが国ロボット産業の振興を図るとともに、広く産業の高度化および社会福祉の向上に資し、もって国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与する」としています。そして、この目的を達成するためのミッションとして、研究開発の推進、利用技術の普及促進、人材育成、市場・技術動向などに関する情報収集・分析、技術情報の発信、標準化の推進、業界間交流や産学交流および国際交流の推進などについてのさまざまな活動を行ってまいりました。
この間、わが国のロボット産業は、70年代の実用化時代、そして80年代の普及時代を経て今日に至るまで、その利用の大部分を製造業のものづくりの場において、3K作業や技能労働力の不足への対応、生産性や品質の向上といった効率的な生産体制の構築や今日のグローバル化に対応した国際競争力の強化など、経済的・社会的ニーズに貢献してきました。そして、その産業規模は2021年に、受注額において念願だった1兆円を初めて超えるとともに、現在も世界トップの地位を堅持しています。
今日、わが国は経済のグローバル化、少子・高齢化の加速による労働人口の減少、自然災害の多発や社会インフラの老朽化といった諸課題に加え、パンデミックやカーボンニュートラル、さらには地政学的リスクに伴うエネルギー・食料問題や、このところの円安の加速といった新たな経済・社会的課題にも直面しています。
SDGsなど貢献
このような中、当工業会ではロボット技術を課題解決型技術と位置付けており、ロボットはこれまでのものづくり現場のみならず、社会のさまざまな分野のニーズへの対応に向けて活躍の場は一層広がるものと思われます。それらの新たなニーズに応え、革新技術に基づく製品やシステムをいち早く世の中に送り出していくことは、ロボット産業の発展となるとともに、国内外が直面する諸問題や、更にはSDGsなどへの貢献にもつながるものと期待しております。
本年、当工業会では「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」を統一テーマとする50周年記念事業を実施しておりますが、その一環として、50年に向けた「ロボット産業ビジョン」を取りまとめ中です。本ビジョンでは、50年でのわが国の〝ありたき姿〟とその実現に当たっての〝ロボット産業の目指すべき中長期での姿〟を示すこととしております。
日本ロボット工業会は、多様化する社会ニーズへの対応やわが国および地球規模でのさまざまな社会的課題への対応、そして業界が抱える多くの課題解決に対しても、会員一丸となって努力してまいる所存です。