2022.10.28 【半導体製造装置特集】東レエンジニアリング チップレットに対応 はんだレスのハイブリッド接合開発へ
フリップチップボンダー「FC3000」の量産装置
東レエンジニアリングはフリップチップボンダーの市場投入から四半世紀にわたり、半導体パッケージの技術開発を続けている。
特に注力するのはTCB(サーマル・コンプレッション・ボンディング)工法。チップを基板に搭載するとともに、熱圧着ではんだを溶かしながらチップと基板を接続する方法で、業界に先駆けて採用した。
微細化技術が成熟化する中、性能向上の新たな手法として、複数のチップを組み合わせる「チップレット」が注目されている。先端技術と既存技術を組み合わせて、性能とコストの課題を同時に満たす手法だが、チップレットに求められる新しい接合方法として同社が開発を進めるのは、はんだレスのハイブリッド接合だ。配線の狭ピッチ化と低消費電力への要求にも応えることができる。
ハイブリッド接合は2種類。一つはウエハー同士を貼り合わせるWOW(ウエハー・オン・ウエハー)。CMOSイメージセンサーでも使われている方法で、プロセスは真空状態で行う。
もう一つは、ウエハーの上に個片のチップを接合するCOW(チップ・オン・ウエハー)。チップレットの中で狭ピッチのチップ、異なる種類のメモリーやロジックICなどさまざまなチップを大気下で接合する方法だ。
真空状態を必要としないため、装置の小型化とコスト低減を図れるが、現在は実用化に向けて研究が行われている段階。
東レエンジニアリングは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業でCOWハイブリッド接合技術の開発に取り組み、2025年夏の製品リリースを目指している。
長年、追求してきた高速高精度の実装技術は、シリコンフォトニクスへの応用も。通信量の増加に伴うサーバーやデータセンターの消費電力を削減する技術として研究開発が進む光配線。レーザーの搭載などに同社の実装技術の適用が期待されている。