2020.01.17 低炭素社会に向け産総研に新研究センター 初代センター長にノーベル賞の吉野彰氏

 経済産業省は17日、低炭素社会に向けた技術革新を加速させるため、産業技術総合研究所(産総研)が「ゼロエミッション国際共同研究センター」を新設し、研究センター長に19年のノーベル化学賞を受賞した吉野彰・旭化成名誉フェローが就任すると発表した。

 今月29日付で開設し、産総研つくばセンター(茨城県つくば市)を約90億円かけて改修し、研究拠点とする。

 研究センターは、喫緊の課題となっている地球温暖化問題の解決に向け、環境・エネルギー技術を飛躍的に革新させるため、世界の研究者らが共同研究できる場として発足させる。

 既に米国やドイツ、フランスなどの研究機関とテーマごとに共同研究することで合意している。「再生可能エネルギー」分野ではフランスの2機関と、変換効率の倍増を目指し次世代太陽光発電などを開発。「カーボンリサイクル」分野では、アメリカの2機関と人工光合成などの研究に着手することが想定されている。

 さらに、「次世代エネルギーシステム」分野では、フランスやドイツなどの3機関と、リチウムイオン電池の劣化メカニズムを解明して長寿命化を目指す。特に、こうした分野では、吉野・新センター長のリーダシップが期待されているという。

 産総研のつくばセンターのほか、臨海副都心センター(東京都江東区)、福島再生可能エネルギー研究所(福島県郡山市)、関西センター(大阪府池田市)を有機的に結び付けながら機能させる。当初は産総研の研究員100人ほどで立ち上げ、その後、海外からも研究者を迎え、300~400人の体制とする。