2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’23年各社の戦略  シャープ 菅原靖文執行役員Smart Appliances&Solutions事業本部長

菅原 執行役員

お客の心をくすぐる

毛色の変わった商品づくり強化

 2022年上期(4~9月)は、為替、上海ロックダウン、資材・物流費高騰など、全て逆風だった。とりわけ上海ロックダウンと円安は想定外の事態で、ダメージを受けた。

 上海ロックダウンについては、第2四半期(7~9月)に円安はあったものの、生産が再開し、フル稼働させて商品供給が追いついた。

 また、厳しい市場環境の中でも健闘した商品は多く、海外での販売は大きく伸ばせた。国内では、大型冷蔵庫で2年前から業界トップクラスの奥行き薄型設計に取り組みシェアを高めたほか、特徴的なファン式冷凍庫も投入して思った以上に順調に推移した。

 また、ドラム式洗濯乾燥機では、デザイン性や省エネ乾燥機能が受け入れられ健闘した。ウオーターオーブン「ヘルシオ」も好調だった。

 国内ではドラム式洗濯乾燥機、冷蔵庫、エアコンと大物中心に商品供給はしっかりできたため、意図通りの展開となった。一方、円安が進む中、事業的には海外シフトを鮮明にし、アジア市場をはじめグローバルで積極的に臨んだ。

 海外市場においても新しい生活様式が定着し、またエネルギー価格の高騰を受け、冷蔵庫、エアコン、洗濯機といった商品で省エネ性の高いインバーター化が進み始めている。

 また、冷凍食品の需要が高まり大型冷蔵庫も伸びている。清潔意識の高まりで高付加価値があるエアコンの需要も伸びた。海外では一部を除き、ほぼ全商品が2桁伸長した。

 この結果、上期全体で売上高は前年を上回ったものの、素材・物流費高騰などの影響で収益面では厳しかった。

 23年については、この下期(22年10月~23年3月)は、22年10~11月の状況を見る限り、レジャーに支出が向き家電への支出が減るという見立てに対して、思ったほど国内需要が落ち込んでいない。商品によって濃淡はあるが、前年並み程度で推移している。

 各家庭ではコロナ禍による外出控えなどで、預金余力はある。かつ省エネやSDGsなど環境意識が高まり、電気代高騰などを背景に節電・節水への関心も高いことから、省エネ家電への買替需要が顕在化するのではないだろうか。

 また、海外市場でもインフレがどこで収まるか不透明ながら、まだ家電の普及率が低い国は多く、高付加価値化の流れもあるため、各市場にラインアップをそろえて打って出ることで、新しい需要を獲得したい。

 23年は、悪い状況は改善されるとみており、商品戦略については、万人受けよりも、際立って毛色の変わった商品づくりを強化する。

 どこに焦点を充て際立たせるかを見極め、お客さまの心をくすぐる商品を出す。10人に1人が良いと思っていただけただけでも、シェアは10%獲得できるわけで、他社にない差別化商品を連打していく。

 AIoT家電では、さらにお客さまに寄り添い、生活スタイルの変化に対応し、お客さまに使っていただける進化を加速させる。