2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’23展望 食器洗い乾燥機

家事負担軽減につながり、手洗いより節水でき、高温洗浄による清潔性もある食洗機

節水・衛生意識が高まり必需品化

 共働き世帯の増加をはじめ、近年ではコロナ禍による在宅時間の増加によって、家事負担が増加する中、省家事につながる食器洗い乾燥機が注目されている。近年、節水・節電意識が向上しており、食洗機を使うことでの節水性にも関心が高まっている。

 内食化が進む中で、面倒な家事の一つとして挙がる食器の後片付けで、最も貢献するのが食器洗い乾燥機。ビルトイン食洗機が主流となっている中、後付けで設置できる卓上型の食洗機の販売も拡大し、食洗機市場の裾野を広げている。近年では、より設置性に優れたタンク式も各社から投入され、さらに食洗機の普及を高めると注目されている。

 食洗機市場は、2021年度は前年を上回り、日本電機工業会(JEMA)の出荷統計によると、21年度通期では前年比103.8%の81万9000台となった。一時的に2桁伸長した月もあるなど、比較的好調に推移した。

 22年度に入ってからは、4~11月までの累計出荷台数は前年同期比98.1%の55万7000台となっているが、金額ベースでは同102.3%と伸長し、平均単価は上がっている。

 食器洗い乾燥機は、共働き世代が1200万世帯以上へと拡大したことを背景に、家事負担軽減のため、購入したい家電製品の上位に挙がる。

 これがコロナ禍によって、さらに在宅時間が増加したことで家事負担が増え、より関心を集めるようになった。

 食洗機の普及率は日本国内では約3割とまだ低く、今後伸びしろがある市場分野である。グローバル市場で見ると、欧米は日本よりはるかに普及率が高く、6~7割程度もあり、もはや必需品化している。

 これは、日本においては狭い住宅事情(設置場所の問題)などが要因となっている可能性が高い。この問題を解決すべく、置き場所に困らないコンパクトな卓上タイプの開発が活発となった。今では共働き世帯が主流となって、家事負担軽減のために必需品化が進み始めており、今後普及率は着実に拡大していくとみられる。

 食洗機は環境にも大きく貢献し、手洗いと比べ6人分の食器(約40点)を洗った場合、使用水量が約7分の1(JEMAホームページより)など、大幅な節水となる。

 さらに手洗いよりも高温で洗浄できるため、除菌にも効果があり、衛生意識の高まりを背景に食洗機の訴求ポイントの一つとなる。

 今後、液体洗剤自動投入やIoT機能搭載など製品的な進化、卓上型では狭い場所にも設置しやすいコンパクト化、さらに分岐水栓工事の不要なタンク式の投入など、商品戦略がさらに活発になるとみられる。