2023.01.12 【計測器総合特集】HIOKI 岡澤尊宏社長

岡澤 社長

EV用電池の「リビルド」に貢献へ

 HIOKIは2022年12月期の売上高を340億円と予想。2年連続の過去最高売り上げ、過去最高利益となる見込みだ。電池など脱炭素に向けたグローバルの投資が活発で事業の堅調が続く。

 ただ、岡澤尊宏社長は目線をその先に向ける。長期経営方針「ビジョン2030」で示した、世界の顧客と共に「持続可能な社会をつくるソリューションクリエイターになる」との目標だ。

 「お陰さまで業績は上振れているが、もっと顧客に貢献するには(取り組みを)加速しないといけない」と気を引き締める。

 長期方針を示した際、バッテリーのリサイクルやリユースまで含めたプロセスで劣化診断の技術などの計測ソリューションを投入し、電池のライフサイクル全体に寄与すると宣言した。

 昨年さらに踏み込んで、「バッテリーのサーキュラーエコノミー(循環型経済)」の実現に向けた取り組みにより深く関わっていく姿勢を明確にし、使用済み電池を再度EV用途で使う「リビルド」のプロセスへの貢献を表明した。

 23年は、世界の顧客との関係性強化に力を入れる。これまで顧客から預かって評価に用いた非測定物を自社で作る技術を確立。「HIOKIイノベーションセンター」を改築し、共同で実験や計測が行えるようにする。

 LIBTEC(リチウムイオン電池材料評価研究センター)の活動にも参加。非測定物としての効率的な電池を材料から試作し、測定法を研究する設備を導入した。バッテリー以外の市場も視野に入れる。

 足元の海外売上比率は6割を超えている。バッテリーセルを生産する中国、韓国が伸長し、インドや欧州も継続して成長。インドでは昨年のプネに続き、今年はベンガルールにも支店を出す。

 本社工場を増床し、坂城工場に現場測定器の生産を移管。生産体制を強化して受注の急増に対応した。

 「HIOKIとやらないと困る」と各国・地域で声がかかる企業になることがビジョンの達成に重要と信じる。