2023.01.12 【計測器総合特集】共和電業 田中義一社長
田中 社長
〝成長に向けた基礎固め〟の年に
共和電業はコア技術のひずみゲージを中心に計測システムをトータルソリューションとして提案している。
2022年は電子部品の供給遅延に伴い生産が停滞したものの、田中義一社長は「工業分野を中心に受注はかなり回復してきた」と話す。
受注残高は前年同期比8億円増の62億円(第3四半期)に膨らんだ。汎用(はんよう)品は回復基調となり、特定顧客向けの特注品も堅調に伸長している。
自動車の安全性を評価する衝突試験分野は順調だ。ロガーやセンサーを使った実車による計測試験に特に強みを持つ。車体やダミー人形にひずみゲージや加速度計、分力計などを装着して、衝突による車体の変形や乗員への影響を測定。車線維持装置の試験には操舵(そうだ)力角計や踏力計など、同社の幅広い製品がシステムとして提案されている。
自動車メーカーの設備投資が再開したことから、EV(電気自動車)開発での需要継続にも期待する。
EVは高電圧化しており、ノイズに対する耐性がより求められている。万一事故が生じた際は、電圧が既定値を下回っているかを確認する電圧測定用のロガーが使用される。
長期目標に「27年度に売上高190億円」を掲げる。「成長に向けた基礎固め」の年と位置付ける23年に取り組むべきことは多い。
まずは中計で示した計画値との乖離(かいり)を縮めること。汎用品の拡販とともに、自動車、工業計測、インフラなど全ての分野で底上げを図る。
会社の認知度を高めて顧客の数を増やすための施策もその一つ。大手ECサイトの活用も検討する。
山形工場では無駄をなくし、生産効率を上げるための再配置を計画。「コト売り」の一環で校正事業も拡充して、人材を育成しながら製品の信頼性を高めていく。子会社のタマヤ計測システムが手掛けるダム堤体観測装置などインフラ関係にも注力する。
「モノづくりは人」と語る田中社長。「社内の人づくりにこだわり、関係の質を高めて組織をもっとうまく回していきたい」