2023.01.12 【計測器総合特集】日本アビオニクス 竹内正人社長

竹内 社長

防衛を基盤事業に民生で成長へ

 日本アビオニクスの民生分野は、接合機器事業と赤外線サーモグラフィーを用いたセンシングソリューション事業からなる。

 売り上げの約6割は防衛分野の情報システム事業。竹内正人社長は「防衛を基盤事業にして民生で成長を」と、3事業を擁するメリットを強調する。

 赤外線サーモグラフィーカメラを自社で設計・開発・製造している。解析ノウハウやサポート力を基に、「顧客ニーズに対応した最適ソリューションを提供できるのが最大の強み」と竹内社長は自負する。

 産業分野への適用では、例えば橋や鉄道など老朽インフラの点検や監視、鉄鋼関係では自然発火の恐れがある石炭コンベヤーの火災監視にサーモカメラの活用が想定される。

 半導体分野ではウエハー製造工程で温度監視を通じた品質向上への応用も探る。

 電力設備や配電盤を監視して異常を早期検知するなど、産業保安分野において事故を未然に防ぐ安全操業の実現を提案。人による巡視から遠隔監視への移行で省人化対策にも有効だ。

 スマートファクトリーも成長が期待される市場だ。電子部品組み立てなどの生産設備を可視カメラや各種センサーとともに監視。製品の検査・解析にもサーモを導入してネットワークで接続すれば、工場の一元管理による生産性と品質の維持・向上が期待できる。

 昨年末にはサーモカメラをLANケーブルに接続して遠隔で操作・監視できる新製品「ネットワークサーモ」を発表した。「設備を止めない」をキーワードに、設備点検のDX化や省力化をアピールする。

 2023年も新たな製品投入が続く。

 人工知能(AI)を搭載した「エッジサーモ」は「答えを出すカメラ」だ。各種センサーも用いて、人が行っていた物体検知や形状認識、診断を、AIがエッジ処理する。ホストデータ量の削減も図れる。

 ヘルスケア領域にも進出し、サーモグラフィー医療機器承認に向けて製品を開発中。両機種は23年度中の製品化を目指す。

 竹内社長は「世の中の変化に対して当社が携われることが増えている。開発の手を緩めず、社会への貢献を進めたい」と話す。