2023.01.12 【計測器総合特集】計測器 23年の戦略 各社トップに聞く テレダイン・ジャパン 原直代表取締役
原 代表取締役
EV駆動系への働き掛けに注力
テレダイン・ジャパン(テレダイン・レクロイ)は2022年、パワーエレクトロニクス分野での受注が引き続き好調だった。
主力のオシロスコープについて、原直代表取締役はこれまで以上に「サンプリングスピードの高速化が進み、より高周波の帯域が求められるようになってきている」とニーズの変化を語る。
パワエレ対応の製品で特に引き合いが多かったのは、最大2ギガヘルツの広帯域と12ビットの高分解能の8チャンネルオシロ「WaveRunner8000HD」。同じく12ビットの1ギガヘルツで4チャンネルの「HDO6000B」も堅調だった。
多チャンネルオシロに対するニーズについて、原代表は「非常に旺盛」と話す。「8チャンネルを2台同期させて、16チャンネルでの使用にも関心が高まっている」。
モーターやインバーター、駆動装置「eアクスル」など自動車関連部品のサプライヤーでの計測需要が活発。EV(電気自動車)化への流れが強まった昨年は、オシロなどを使った計測を積極的には行わなかった企業も手掛けるようになってきた。
22年はパワーデバイスの特性評価に強みを発揮する高電圧光絶縁プローブ「DL-ISO」を発売。2500Vまでのプローブチップをラインアップした。テレダインの12ビット高分解能オシロと組み合わせて高性能な測定が可能だ。最先端の半導体やデバイスの分野での活用に期待する。
原代表は「パワエレの世界は一つではない。『パワエレのレクロイ』のイメージで幅広く展開したい」と意気込む。「プレーヤーが増えており、今後も需要は旺盛と思う」。
テレダイン・テスト・ツール(T3)ブランドは汎用(はんよう)オシロだけでなく、TDR測定器やAWG(任意波形発生器)も含め、ハイエンド製品でも引き合いが多くなった。
昨年はウェビナーでの発信を強化するため、東京のオフィスを改修した。23年もモータードライブアナライザーなどを用いたEVの駆動系への働き掛けに注力しつつ、日本市場のどこに同社の商材を生かせるチャンスがあるのか、注視する。