2023.01.12 【計測器総合特集】エーディーシー 持田博史社長

持田 社長

「業界にまだない製品」などに挑戦

 エーディーシーは、アドバンテストから独立して今年で設立20年になる。持田博史社長は、「小さいけれどピリッとした製品」の開発で業界での存在感をさらに強めていきたい考えだ。

 新年に、8桁半(8.1/2桁)表示のデジタルマルチメーター(DMM)の新製品「7482」をリリース。従来のDC(直流)用8桁半DMM「7481」にAC(交流)測定機能を搭載した。

 8桁半DMMは国内の計測器メーカーとして唯一手掛ける製品。7482は海外製品に対する価格メリットを強みにしたい考えだ。

 持田社長は〝業界にまだない製品〟〝世界初の製品〟など新たな看板商品の開発に引き続き挑戦する意気込みを示す。ローエンドDMMや出力範囲を広げた計測電源など高分解能・高精度な新製品の投入も計画する。

 生産効率向上に向け、多チャンネル化した生産ライン測定の要求も増加すると見られ、多チャンネル電圧電流発生器やモジュラー型計測器の新モジュールなどを軸にシステム化の提案を強化していく。

 現在取り組んでいるのは無線通信や光通信の部品市場、自動車関連の電子部品市場に向けたDMMや電圧電流発生器、エレクトロメーターの拡販だ。半導体試験装置向けDMMは堅調が続く。

 国内メーカーの海外生産拠点に対し国内同様の情報提供と製品の提案・供給を円滑に進めるため、海外代理店とリモートで情報交換を積極的に行い、現地生産拠点での生産設備導入をサポートする。

 部品供給の遅れや部品価格の高騰は収益にも影響を与え、新製品の発表や納期の遅延につながっている。今年は「遅延となっていた新製品を投入することで、市場でのシェアアップにつなげていきたい」とする。

 2023年は次世代通信「6G」やデータセンター需要の加速に期待する。自動車関連では電動化がさらに進展し、バッテリー電圧変動モニターや充放電マネージメントデバイスの開発生産用DMM、多チャンネル化が可能な測定システムの提案を進める。