2023.01.18 【情報通信総合特集】NECプラットフォームズ 田熊範孝社長
ハードの生産性高め共創拡大
半導体需給は2022年後半から改善しつつあり、既存のネットワーク製品やテレフォニー製品は復調の兆しを見せている。円安は当面続くと想定され、価格交渉の努力を継続しながら適正価格での提供を目指したい。
キャリア向け高速通信規格5G基地局も堅調だ。在宅勤務や動画配信サービスの拡大を受け、ホームネットワークが伸びている。最新規格Wi-Fi6Eに対応したホームルーターも市場投入した。コロナ禍で投資に慎重だった外食業界も回復しつつある。
NECグループ全体のソリューションを支える強いハードウエアづくりが当社の強み。その前提となる工場のセキュリティーを継続的に強化してきた。
日本の一番のブランドは安心・安全だが、もはやタダではできない。工場のネットワーク防御やリモート監視を強化する「セキュア生産」のガイドラインを整備し各工場に最低1ラインを設定。運用と課題の洗い出しに向け、サイバー攻撃対応の訓練も実施している。
7月にはセキュア生産とローカル5Gなど最先端技術を駆使したスマート工場として、掛川工場新A棟が本格稼働する。安心安全な製品の生産拠点としてアピールし、工場の付加価値を高めていく。
部品・モジュールから組み立て製造、システム構築などサプライチェーン全体を通じて企業価値を高める「スマイルカーブ」を底上げする戦略も具体化していく。
当社は5Gや海底ケーブル、宇宙・防衛関連など〝とがった〟技術を多く持っている。こうした技術の一部を部品・モジュールとして切り出して他社に販売するビジネスの検討を進め、来年度以降に形にする。
「モノからコト」と言われるが、再度モノづくりに回帰し、現場力を生かしてハードの生産性を高め続けながら、NEC本体のソリューションと結び付けば利益が生まれる。セブン銀行向けのATM(現金自動預払機)はこれが実現した事例だ。
こうした共創領域をさらに拡大し、世の中にないものを創り出していきたい。