2023.01.18 【情報通信総合特集】NECネッツエスアイ 牛島祐之社長

新価値創造へイノベーション促進

 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにデジタルトランスフォーメーション(DX)が着実に進展する中、2023年3月期上期(22年4~9月)に順調に受注が積み上がった。ただ、為替の問題が想定外だった。円安の影響でネットワーク機器の調達コストが上昇したほか、工期が伸びた。

 23年3月期は3カ年の中期経営計画「Shift up 2024」の初年度で、成長戦略は進展してきた。ただ、数字がついてきていないので、着実に戦略をより強いものに変えて収益を生む形に持っていきたい。

 今後は、さらにコンサルティング機能を強化するとともに、顧客と「DXを活用したイノベーション」を共創する活動にも力を入れる。そこで培ったノウハウを生かし、顧客に寄り添ってイノベーションの構想や提言を行う段階から実装や運用を経て価値創造につなげるリカーリング(継続課金)モデルとして提案していく。

 今までにない価値を生み出すために伴走するパートナーとなることを目指している。その目標を達成するため、人材の育成や事業の強化などに向けた投資を積極的に行う。22年度中には本社を移転する計画で、第5世代移動通信規格5Gをエリア限定で使う「ローカル5G」などのネットワーク活用やDXを支援するソリューションの実証の場と位置付ける。

 新型コロナ収束後の「アフターコロナ」を見据えて、現実世界の情報を収集して仮想のデジタル空間上に再現する技術「デジタルツイン」を活用したソリューションの成長にも期待を寄せている。さらに、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を基盤とする分散型のインターネット「Web3.0(ウェブスリー)」の可能性にも注目している。

 日本は、グローバルの中の一つの市場と捉えている。そうした視点で米シリコンバレーに拠点を構えるベンチャーと協業し、先進技術を取り入れてきた。今後も連携し、新しい発想でグローバル展開を進める。例えば、高齢化社会に向けた取り組みを各国に水平展開することが考えられる。