2023.01.25 【ネプコンジャパン/オートモーティブワールド特集】自動化が進むSMT市場

SMTの生産ラインや工場のスマート化への関心が高まっている

高品質、高効率生産実現へ スマートファクトリーに注力

 製造業では人手不足を解消すべく省人化や生産自動化の要求が多い。また、高品質生産のための自動化も増えている。SMT各社は実装機(マウンター)をプラットフォームに位置付けたSMTプロセスを「スマートファクトリー」として、高品質、高効率生産の要求に応える。

 FUJIは、IoT/M2Mを活用した統合生産システム「Nexim(ネクシム)」をベースに、柔軟で無駄のない生産を実現するFSF(FUJIスマートファクトリー)によるSMTの生産自動化を提案する。FSFのプラットフォームとして、スマートローダーが生産スケジュールに合わせて電子部品の補給、次生産への段取り替えを完全自動化したり、自己診断機能で予知保全が可能な次世代実装機「NXTR」を製品化した。

 ヤマハ発動機は、SMDストレージシステム、はんだ印刷機、ディスペンサー、SPI、マウンター、AOIなど実装ラインの主力機器を、全てヤマハブランドで構築可能なフルラインアップ体制により「ワンストップソリューション」を訴求する。これらを、実装ライン全体をマネジメントするIoT/M2M統合システム「インテリジェントファクトリー」につないで、高度なM2M連携を可能とした高効率実装ラインを提案する。

 JUKIは、10万CPHの高速マウンターRX-8を核に実装統合ソフトウエア「JaNets」に連携させた「JUKIスマートソリューション」によるSMT工程の最適化ソリューションをアピールする。

 パナソニック コネクトプロセスオートメーション事業部は、製造現場のプロセスイノベーションを目指す。エッジデバイスである競争力の高い設備や装置をベースに、それら装置をつなぐことで生産ライン、工場全体の最適化を図り、MESからさらに上位のSCP/ERPまでの価値を提供。自律的に進化し続ける工場を「オートノマスファクトリー」と定義し、365日24時間止まらない工場の実現を図る。

 プラットフォームになるエッジデバイスとして「NPM Gシリーズ」のモジュラーマウンター「NPM-GH」などが23年度にそろう。

半導体プロセスと融合

 SMTと半導体プロセスの融合が進みつつある。

 半導体チップ上に描く(露光する)回路の線幅を小さくして集積度を高める前工程の微細化技術は、物理的にも限界に近づいているため、高機能化や多機能化を継続していくために後工程の重要性が高まっている。

 半導体製造プロセスの後工程ではSiP(system in package)などメモリーやマイコンといった複数のチップをパッケージ内で3次元方向に積層して実装する3D実装や、異なるプロセスノードを使用してチップを製造、集積化するチップレット技術などパッケージング技術による高集積化が進む。

 3次元実装では、基板との接続に貫通電極(TSV)とバンプ(はんだボール)を用いるフリップ実装が増え、ベアチップや受動部品などを複数搭載して一つのICとしてパッケージングするMCM(マルチチップモジュール)も増加。これらボンディングなどの製造プロセスにはSMTが応用されるケースが増えている。

 SMT各社はこのような半導体製造プロセスに着目して、融合領域を新たに事業化するためにM&Aを進めている。

 FUJIは、18年8月にダイボンディング装置を主力とする半導体製造装置メーカーのファスフォードテクノロジ(FFT、山梨県南アルプス市)の全株式を取得した。電子部品実装ロボットで培ったFUJIの独自技術とFFTの半導体関連技術の連携を進める。

 ヤマハ発動機は、同社を親会社に半導体ボンディングを主力事業とする新川(東京都武蔵村山市)、モールディング装置のアピックヤマダ(長野県千曲市)、半導体検査装置のPFA(埼玉県坂戸市)の事業統合によりヤマハロボティクスホールディングス(YRH)を19年7月に発足した。次世代ボンディング技術「ポスト5G向けチップオンウェハダイレクト接合3D積層統合技術」の開発に取り組んでいる。

 JUKIは、半導体後工程とSMT工程の融合も視野に入れ、FPDや製造装置や半導体パッケージ製造装置企業のAIメカテックと、22年9月に資本業務提携を結んだ。

 パナソニック コネクトプロセスオートメーション事業部は半導体製造プロセスに実装業界に先駆けて取り組み、ドライエッチャー、プラズマダイサー、液晶ボンダー、ダイボンダー、フリップチップボンダーなどを製品化している。