2023.01.30 ドローンで物流を効率化、官民の動き活発化、国交省が実証支援
東京都日の出町の小学校で開かれたドローン教室=1月25日
小型無人機(ドローン)を物流の効率化につなげる取り組みが熱を帯びてきた。ドローンを操縦者から見えない市街地などの上空に飛ばせる「レベル4飛行(目視外飛行)」の解禁を受けて、KDDIや日本航空(JAL)などの6社が2月から東京都あきる野市で、ドローンで医療物資を輸送する長期の実証事業を始動。国土交通省も「ドローン物流」の社会実装を促そうと、年内に実証事業の支援に乗り出す計画だ。
あきる野市を舞台に動き出す実証事業の期間は来月1日から1カ月間で、KDDI完全子会社でドローン事業を担うKDDIスマートドローンやJR東日本なども参画する。同市の医療機関と検査機関の間に約120メートルの飛行ルートを設定し、ドローンで検体を輸送。技術・ビジネス面や制度面の課題を洗い出す。地域住民に物流向けドローンに対する理解を深めてもらおうと、同事業に先立つ1月25日には、日の出町の小学校でドローン教室を開いた。
2023年度以降には、医薬品卸倉庫と病院をドローンで結び、必要な薬を必要な時に必要な分だけ届ける「オンデマンド輸送」の確立を狙う。
過疎地域や都市部が物流をめぐる課題に直面する中で国交省は、レベル4飛行を踏まえたドローン物流の先進事例を各地で増やそうと、2022年度補正予算で実証事業を支援する。予算規模は約1億円で、4月から事業者を対象に公募を始める方向で検討。10件弱程度の選定を想定している。さらに関連の手引きとなるガイドラインを、3月にも見直す予定だ。