2023.02.28 【複合機&プリンターソリューション特集】電帳法対応ソリューション

改正電帳法やインボイス制度対応のソリューションが本格化する

中小向けの法令対応に本腰

10月からインボイス制度が導入

 今年1月で電子帳簿保存法(電帳法)の施行から丸一年が経過し、義務化までの猶予期間は1年弱となった。10月にはインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入される。法改正の背景にはデジタル化の促進がある。しかし、特にデジタル化が遅れている中小企業の電帳法対応は進んでいないのが現状。中堅・中小企業に多くの顧客を持つ事務機各社はソリューションを拡充し、法令対応に本腰を入れている。

 従来は請求書や領収書などを電子データで受け取った場合、出力紙での保存が認められていたが、改正電帳法では電子データでの保存が義務付けられた。多くの企業で対応が間に合わず、2年間の猶予期間が設けられ、電子データで受け取った書類のデジタル化義務は先延ばしされたが、いよいよ本格的対応が求められる。

 また、10月には、消費税の仕入額控除の方式としてインボイス制度が導入される。適格請求書を電子化した電子インボイスなどの検討も始まっている。

 専任のIT担当者などがいない中小企業では、大手企業に比べて電子化が遅れており、電帳法への対応は進んでいないのが現状だ

 クラウド型経費精算システムなどを開発・提供するラクスが昨年夏に全国の経理担当者を対象に行った調査では、インボイス制度について約4割が「知らない」と回答。電帳法に「即応して運用中」と答えたのは約2割にとどまっていた。

 事務機各社は各種ソリューションをラインアップし、法令対応を支援していく。

 リコーは、企業間取引に用いられるさまざまな証憑(しょうひょう、取引関係書類)の処理業務プロセスを効率化し、企業の生産性を向上させるソリューションとして「RICOH 証憑電子保存サービス」を提供している。紙やメール、ファクスなど多様な形式で送られてきた証憑をクラウドにアップロードするだけで電帳法改正に対応。

 リコージャパンでは昨年1月の発売以来、9カ月で2500本超を販売し、約8割の未実施企業を対象に対応を加速させている。

 富士フイルムビジネスイノベーションは、法令対応のソリューションを拡充し販売も好調だ。クラウドストレージサービス「Working Folder」で、国税関係書類の授受・保存が可能な「Working Folderエビデンス管理オプション」を提供し、電帳法の改正要件に準拠した運用を支援している。

 富士フイルムビジネスイノベーションジャパンが提供する、「10万円からできる電帳法」ソリューションも好評だ。

 キヤノンマーケティングジャパンは、デジタルドキュメントサービス「DigitalWork Accelerator(デジタルワークアクセラレータ)」を昨年12月から提供。第1弾として、電帳法などに対応してバックオフィス業務のプロセス変革を支援し、電子データの一元管理とデータの利活用を促進する「電子取引管理サービス」を用意した。

 「電帳法に対応したサービスに、業務・業種に合わせたアプリケーションを連携し、法対応にとどまらず、業務プロセス変革の実現を支援していく」(同社)。

 コニカミノルタジャパンでは、電子取引のデータ保存に対応した「電子取引スタートパック」を提供している。電子ファイルのサーバー運用からオンサイト・リモートによる保守体制まで構築し、電帳法の改正に伴う業務への対応と生産性向上を支援する。

 エプソン販売もパートナーとのアライアンスを強化し、対応策を増強している。

 10月1日に消費税の仕入れ額控除の方式としてインボイス制度が導入される。法令対応は待ったなし。各社は法令対応と同時に、電子化による業務改革の支援にも本格的に取り組んでいく構えだ。