2023.03.24 量子コンピューター国産初号機を公開 理研、27日からクラウドサービス開始
報道陣に公開された量子コンピューターの国産初号機。RQCの中村センター長は量子ビット集積回路チップも披露した=24日、埼玉県和光市のRQC
量子コンピューターの国産初号機が24日、埼玉県和光市の理化学研究所で報道陣に公開された。27日からはインターネットを介してどこからでも利用可能なクラウドサービスとして提供。日本の研究者の知見を結集して、世界規模で開発競争が激化する量子コンピューティング分野で世界をリードしたい考えだ。
理研をはじめ、産業技術総合研究所、情報通信研究機構(NICT)、大阪大学、富士通、NTTの共同研究グループが研究開発を進めている。初号機は超伝導方式で64量子ビットの集積回路で構成する。
クラウドサービスは、当面は、理研との共同研究契約を通じて利用手続きを行い、非商用目的であればいずれの研究・技術者でも無償で利用できる。
理研量子コンピュータ研究センター(RQC)の中村泰信センター長は「ここはあくまで通過点。多くの研究者に利用してもらって改善点を洗い出し、さらに高度な量子コンピューターを目指したい」と話す。ただ、今回の利用は量子計算の高度化に向けた研究開発での利用を想定しており、創薬や金融・経済予測といった社会課題の解決の研究目的はまだ先だ。
今後さらに研究を進め、将来的には100万量子ビット級の集積化の技術開発に向け量子エラー訂正の実現を目指す。
量子コンピューターの研究開発を巡っては米IBMが433量子ビットを搭載した新しい量子プロセッサーを発表するなど世界規模で開発競争が激化している。
(27日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)