2023.03.28 【電子部品メーカー・商社 中国拠点特集】 変革を遂げる中国の日系電子部品工場 欧達可電子(深圳)有限公司 オータックス

深圳工場の外観

富田 社長富田 社長

技術センターの役割をより強める

 オータックスの中国現地法人「欧達可電子(深圳)有限公司」(深圳市)は、同社グループ最大のグローバル製造法人。グループの複数の海外工場のHUBセンターに位置付けられ、近年は技術センターとしての役割をより強めている。

 工場規模は約6万2000平方メートルの敷地に延べ床面積約2万4000平方メートル。25年以上の歴史を持ち、全工程の製造、製品および金型と自動化設備の開発・製作を一貫して行える。

 同工場は自動化・省力化を強力に進めている。DIPスイッチ組み立てや端子台組み立ては大半を自動機で行い、電源スイッチの自動機生産も大きく進展。これらにより、従業員数は最盛期の約2500人から現在は約800人まで減少しているが、同法人の2022年度(22年12月期)売上高は3億元を超え、過去最高を更新した。オータックスの富田周敬社長は、「深圳工場では、自動化が着実に進んでいる。既存スイッチをリニューアルした新製品の自動化生産を順次、立ち上げている。人手ではなく人材を活用するのがコンセプト」と話す。

 同工場は、組み立てのほか、プレス、成形などの部品加工、めっき、金型設計、自動機開発、製品設計などあらゆる機能を整備。特に近年は技術センター機能を強化している。「当社では現在、タイ第2工場の稼働に向けた準備を進めているが、タイの生産規模を拡大していく中で、そのための設備やエンジニアは中国サイドで準備していく」(富田社長)。

 深圳工場では、新たにビッグデータを活用してペーパーレスで生産工程を組める生産管理システムを自社開発した。「このシステムを活用することで、今期は在庫の削減に努める。今後はこのシステムをASEANなどの工場にも展開していく」(富田社長)。

 中国での今後の注力市場としては、EV関係やFAロボット市場などを挙げる。同工場ではIATF16949認証を取得し、22年より新たに車載用部品の出荷も始めている。

カーボンニュートラル化への取り組みも推進する。