2023.03.27 新たな「匂いビジネス」創出へ、NTTデータと阪大発ベンチャーが連携 光計算機を駆使
濃厚なバニラの香料を噴射するデモンストレーションの様子=27日、東京都江東区のNTTデータ本社
少数の匂い成分で、さまざまな匂いや香りを瞬時に作り出す――。NTTデータと匂いを数値化する大阪大学発ベンチャーの香味醗酵(大阪市西区)は27日、匂いを再構成する先進技術をビジネスに応用する展開を加速しようと、4月1日にパートナーシップ契約を結ぶと発表した。2025年までに、10件以上の匂い関連ビジネスの創出を目指す。
両社が追求するのは、光の性質を利用して難問を高速に解くNTT開発の計算機「コヒーレントイジングマシン」を駆使し、膨大な匂い成分な中から最適な組み合わせを見つけ出すという取り組み。少ない成分で、求める匂いや香りを素早く再構成できるようにする。
計算で扱える匂い成分の種類の数は1000種類が限界だったが、両社による共同実験で8倍の8000種類以上に拡張できることを確認。計算の精度面でも一定の有効性を確かめたという。
27日に東京都江東区のNTTデータ本社で開かれた説明会で、匂いの再構成技術の可能性について紹介。実際に、新技術を生かして合成した濃厚なバニラの香料を噴射するデモンストレーションも行った。
両社は今後、蓄積する成果を香料開発の効率化や高度化につなげるとともに、インターネット上の仮想空間「メタバース」や映像産業に匂い情報を実装することも狙う。成果を食品や医療、防虫剤などに役立てる展開も想定されるという。