2023.03.30 グーグルの広告削除は5割増 グローバルで昨年52億件 監視逃れへの体制も強化

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 米グーグルは、広告の安全性についての年次報告書を発表した。昨年中に契約違反から削除した広告はグローバルで52億件超で、前年(34億件)から5割以上増えた。制限をかけた広告は43億件超、アカウントを停止した広告主は670万超。監視体制の強化などが理由としている。

 報告書によれば削除対象のうち、最も多かったのは広告目的を偽るなど「広告ネットワークの乱用」で、さらに、商標や法的な問題、金融サービス、不当表示、著作権などが続く。グローバルのデジタル広告市場で、同社は約3割を占めるとされる。

 同社は違反が増加した理由について、監視体制を強化したことを挙げている。人工知能(AI)や機械学習(ML)も活用しつつ、24時間体制で「何千人もの人々が働いて」、広告を監視している。

 また、各種のポリシーも拡充している。昨年には、金融サービスの認証プログラムを拡大。製品やサービスを宣伝した広告主は、規制当局の承認を受けていることを証明する必要がある。金融被害からの消費者保護を図るもので、英、豪、シンガポールなど11カ国でプログラムを開始した。今後、さらに拡充するとしている。

 健康関連や、選挙への信頼・参加を損なう可能性のある明らかに虚偽の主張に対するポリシーも実施。気候変動を否定するような広告関連のポリシーも策定した。ヘイトスピーチや暴力、武器などの危険な製品に関する広告にも対応している。

 監視を回避する動きもあるという。マルウエアを拡散させようという広告が昨年末から今年にかけてあった際は、同社はそれを特定し、悪意のある広告数万をブロックして削除するなどした。

(31日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)