2023.04.18 国境を越えたリモート勤務 三菱電機が導入 世界規模で人材最適化

 三菱電機は、国境を超えたリモート勤務を可能とする制度を導入したことを明らかにした。国によって労働規制や税制が異なることを踏まえ、越境勤務に必要なガイドラインを策定した。世界規模で人材の配置や活用を最適化して自社の成長につなげる先駆的な取り組みとして、注目を集めそうだ。

 2023年度に取り入れたのは、越境してバーチャルで働く「バーチャル・アサインメント」と呼ぶ制度。今後は各国で異なる法規や各職種にある制約を踏まえながら、慎重にモデルケースを積み上げる。運用を通じて課題をクリアしながらノウハウも蓄積し、ガイドラインを磨き上げる。

 具体的には、「生活している国の拠点」と「役務を提供する国の拠点」が業務委託契約を結ぶ仕組みで、業務の成果物に対して対価を請求する。従業員本人は、生活する国の現地法人との雇用関係を維持しながら、同法人の基準で報酬を受け取る。新制度を適用する職種としては、マーケティングや人事などの管理部門を主に想定しているという。

 例えば、同社がドイツに構える拠点で現地居住者として生活しながら、日本で進めるプロジェクトを担当するといったリモート勤務が実現できる。逆に日本に居住しながら、ドイツ拠点の業務に従事することも可能だ。

 働き方のイメージとしては、生活する国に構える拠点の労働時間に合わせて勤務する。日本に居住しながらドイツの業務に従事する場合、両国に約7時間の時差があることを踏まえながら、勤務時間内に必要に応じて現地との間でオンラインミーティングを行う。

 世界規模で人材獲得競争が熾烈(しれつ)を極める中で、柔軟な働き方を求める優秀な人材をひき付ける労働環境づくりが産業界共通の課題となっている。そうした中、グローバル化するビジネスニーズに即応しながら人材を最適に活用し育てることを狙う同社の戦略から目が離せない。