2020.02.06 【ICT展望2020】日本ユニシス・平岡昭良社長

平岡昭良社長

エコシステム取り組みを推進

 ―デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)や働き方改革などを背景に、ITサービス市場は堅調に推移しています。一方でAI(人工知能)、IoTなど技術革新も目覚ましいですが、今のITの市場環境をどう捉えていますか。

 平岡社長 デジタルをキーワードに、IT市場は底堅い。従来システム、DXとも引き合いが強い。企業を取り巻く環境やITの市場環境は大きく変化してきた。企業は、地球環境問題への危機感を背景に、経済的成長や利益を上げることだけでなく、持続可能な社会、循環型経済へとかじを切り始めている。

 底堅く推移しているITも、コストから投資へ変わってきた。企業の経営トップ自らがITに関与し、DXを推進し、いかに競争優位をつくり出すか、新しいビジネスモデルをつくり出すかに強い関心を見せている。まさにITが企業にとって戦略領域になっている。また、AI、IoT、5Gなどテクノロジーの進歩をしっかり捉えていくことが必要だ。

 ―中期計画の進捗状況はいかがですか。

 平岡社長 日本ユニシスグループは、18年度からの中期経営計画「Foresight in sight 2020」でグループの存在意義を再定義した。「事業活動」を通じて社会課題を解決、持続的成長サイクルを実現し、サステナブルな存在として社会に必要とされる企業を目指している。こうした中で、いち早くビジネスエコシステムを提唱してきた。大きな社会課題には、「志」に共感するものがエコシステムを形成し、解決に取り組まなければならない。

 19年度は、クリーンで持続可能なエネルギー社会、脱炭素社会の実現に向けての取り組みや、観光立国を目指した地方創生、MaaS、キャッシュレスなどスマートな暮らしに向けて、いくつもの成果を出してきた。20年度は、こうしたエコシステムの取り組みをさらに加速させる。

 また、企業風土の改革にも積極的に取り組んできた結果、新たなことにチャレンジする風土が着実に根付いてきている。

 ―19年度の業績も好調で、特に営業利益が大きく伸びています。

 平岡社長 中期経営計画2年目の19年度の業績も順調に推移し、通期で大台の3000億円に乗る見通しだ。特に営業利益が前年同期比36%増(上期)となり、業界トップクラスの伸び率となっている。中計で目標としている営業利益率8%以上も視野に入ってきた。利益を出して投資へ結び付けていく戦略が軌道に乗ってきている。

 ―次期中計に向けての方向性をお聞かせください。

 平岡社長 20年度は中計の最終年度になる。これまで行ってきた構造改革を完成形にし、その結果として営業利益率8%以上を実現させる。一方で、中計の仕上げとともに次の中計の仕込みの年度でもある。10年先のあるべき姿を見据え、次期中計の準備を進める。「志」を持つ全ての方々と、社会課題を解決していく企業を目指す。