2023.04.20 日立、400億円規模のCVCファンド新設 Web3や生成AIを商機に

 日立製作所は20日、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した次世代インターネット「Web3」など、最先端のデジタル領域をけん引するスタートアップ企業へ戦略的な投資を行うと発表した。新たなコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドを3億ドル(約400億円)で組成したもので、デジタル事業の拡大に弾みをつけたい考えだ。

 日立は2019年にドイツにCVCファンドを運営する日立ベンチャーを設立し、「HV Fund」の第1号ファンドを組成。21年には、第2号を設立した。二つのファンドを通じて、事業との相乗効果が見込める計約20社のスタートアップに出資してきた。

 こうした実績を土台に新設したのが今回の第3号ファンドで、従来の2倍の投資規模となる。世界で起きているデジタル領域のイノベーションをいち早く発掘し、事業機会の獲得につなげる。

 経済や社会に変革をもたらす可能性を秘めるWeb3のほか、文章や画像などを自動生成する生成AI(人工知能)などの分野に強みを持つスタートアップに出資。次世代の超高速通信「6G」や「クラウドコンピューティング」などの技術の新潮流も視野に入れ、スタートアップと連携する。

 日立の小島啓二社長兼CEOはコメントの中で、新設ファンドを通じて「Web3や生成AIといった時代の最先端のテクノロジーを有するスタートアップ企業との協創を実現する」と強調。社会イノベーション事業のグローバルな成長を加速する姿勢も示した。