2023.05.12 東芝の3月期連結、営業利益3割減 HDDの市況悪化など響く
決算説明会に臨む平田CFO
東芝が12日発表した2023年3月期連結決算は、営業利益が前期比30.4%減の1105億円と、2期ぶりの減益となった。ハードディスクドライブ(HDD)の市況悪化に加えて、発電システムに関する品質保証引当金の計上なども響いた。
営業利益は2月公表の予想を上回ったが、一時的な費用を主因に減益。東芝グループに唯一残る上場子会社の東芝テックの株価低迷による損失計上も影響した。売上高は、為替の好影響も下支えに微増となった。
24年3月期の営業利益予想は、一時的要因の反動による改善が見られたものの、将来を見据えた研究開発費などの成長投資や構造改革費用の増加が重荷となって1100億円にとどまる見通しだ。
平田執行役専務CFOが退任 後任に松永執行役員
経営再建を急ぐ東芝は12日、代表執行役の一人である平田政善・執行役専務CFO(最高財務責任者)が6月29日に執行役と代表執行役を退任すると発表した。東芝が不正会計の問題で揺れていた15年9月から財務部門の責任者を務め、経営危機からの再建などを担ってきたという。
平田氏は同日の決算説明会で「内部統制の強化にかなり時間をかけてやってきた。基盤を整える時代が長く続いたと感じている」と在任期間を振り返った上で、 「(温室効果ガスを実質ゼロにする)カーボンニュートラルやデータをからめたインフラ事業を中心に飛躍させていく瞬間と感じている」と述べた。
さらに平田氏は、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした国内連合による買収提案の受け入れにも触れ、「企業価値を上げていく観点から、非上場化は非常にいいスキームだ」との認識を示した。
後任のCFOには、財務管理部バイスプレジデントの松永靖弘執行役員が就く。JIPは7月下旬をめどに株式公開買い付け(TOB)を実施する予定で、TOBが成立すると株式が非公開化。東芝は、非上場企業として新たな一歩を踏み出す。