2023.05.30 パナソニック ナノイーの真菌不活化機序の一部解明

クロカビの初期(左上)の状態がナノイー8時間照射で凹みができ(右上)となる。下の左は初期の断面、右下はナノイー照射で内部が空洞化した様子

 パナソニックは、大阪公立大学大学院 獣医学研究科の向本雅郁教授との共同研究で、ナノイー(帯電微粒子水)の照射による真菌(カビ、酵母)の不活化は、細胞壁の破壊と、それに伴う内容物の漏出が一因であることを初めて明らかにした。

 同社は、ナノイー技術を用い、2011年9月、屋内に存在する8大カビに対する抑制効果を実証した。また、真菌を「有性器官の形質」と「形状」により分類し、カビ、酵母を中心に分類別に選定した種で検証した結果、全ての種でナノイーによる99%以上の抑制を確認した。

 これにより、分類に属する未検証の真菌への抑制効果が示唆されたが、ナノイーが真菌に対しどのような影響を与え、抑制しているのかは明らかになっていなかった。

 今回、不活化機序の解明を目的に、ナノイー照射による形態変化を観察した。その結果、異なる分類の真菌3種いずれでも、細胞壁の破壊と、それに伴う細胞内容物の漏出が確認され、これが真菌の不活化機序の一部であると示唆された。

 さらに、真菌が不活化されない程度に帯電微粒子水を照射した後に放置すると、生菌数は時間の経過とともに減少する様子が観察された。

 ナノイーにより損傷を受けた真菌は、照射し続けなくても損傷が広がり不活化に至るというメカニズムが示唆されたのは今回が初めてという。

 今回の検証は密閉された45リットルの試験空間での結果で、実使用空間での効果を検証したものではないが、今後「より安心、かつリスクの少ない空気環境の提供に向け、研究を深めていきたい」(パナソニック くらしアプライアンス社くらしプロダクトイノベーション本部コアテクノロジー開発センター佐々木正人所長)と話す。