2023.06.08 マイナ給付金の受取口座、総点検で家族名義13万件など判明 問われる信頼確保
政府が普及を目指すマイナンバーを巡る不安と混乱が広がっている。マイナンバーとひも付けて国や自治体からの給付金の振込先とする「公金受取口座」を巡って、本人以外の家族名義で登録した可能性が高いケースが約13万件に上っていたことが、総点検で確認されたからだ。政府一丸で信頼を確保する対応が急務となりそうだ。
総点検の結果は、河野太郎デジタル相が7日に開いた臨時記者会見で、明らかにした。それによると、誤って別人の口座を公金受取口座として登録したとみられる事例は748件に達した。
デジタル庁によると、誤登録は、マイナンバーカード取得者にポイントを還元する「マイナポイント」の手続き時に自治体の支援窓口の端末で発生。職員のログアウト忘れにより、「同一口座」が本人以外の人にもひも付けられてしまった。
そこで、登録されている全約5400万件を対象に同一口座が複数人に登録されているケースを機械的に抽出した上で、誤登録の可能性が高いものに絞り込んだという。
会見で河野氏は「国民の皆さまに安心して公金受取口座の登録を行ってもらい、迅速かつ確実な給付が実現できるよう、引き続き信頼の確保に取り組んでいきたい」と強調した。
748件については6月中にも郵送で伝え、口座情報の変更手続きについて案内。個人向けサイト「マイナポータル」からの口座情報の閲覧をできないようにするほか、給付を行う行政機関などへの口座情報の提供を停止するという。
漢字氏名とカナ氏名が照合できないという根本問題にも着目。法改正を受けて2025年6月までに、マイナンバーカードなどの氏名のふりがなと公金受取口座の名義人を自動照合する仕組みを実現。年内をめどに、漢字氏名とカナ氏名を照合可能な検知モデルを開発することも計画している。また、6月中の実装を目指してログアウト忘れによる誤登録を防ぐためのシステム改修を行う。