2020.02.14 【ICT展望2020】NECソリューションイノベータ・杉山清社長

杉山清社長

新たなビジョンを策定

 ―足元までのビジネスはいかがですか。

 杉山社長 国内の製造業をはじめとする企業のIT投資環境は悪くなく、19年度上半期の状況を見ても受注、売上げとも計画以上で好調に推移している。通期も計画通りに着地できる見通しだ。

 当社は14年にNECグループの全国のソフト会社7社を統合し、最適化に取り組んできた。現在はNECグループのソリューション開発の中核企業として体制を整え、特に19年はNECとの連携をさらに強化しデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)への対応も進めている。

 ―DXは情報各社が取り組みを強化しています。

 杉山社長 DXに関してはNECが中心になりデジタル化を推進しており、当社も一体となって支援している。同時にDXを自社内で実践する取り組みも本格化させた。昨年から全国拠点網の最適化に加え、拠点でのオフィス改革にも取り組んだ。フリーアドレスのほか、コミュニケーションを活性化するためのオフィスづくりや実際にコミュニケーション促進のための施策も打った。首都圏を中心にサテライトオフィスを設け、テレワークも積極的に推進している。

 ―DXの推進には人財育成も重要です。どう取り組みますか。

 杉山社長 現在、クラウド、AI(人工知能)、IoT、セキュリティを強化事業領域として掲げ、この分野の教育に取り組んでいる。19年度に約1000人を育成し、デジタル人財は累計2000人規模まで拡大する予定だ。20年度中には3000人を目指すと同時に、プロジェクトに応じて最適な人財配置を行う。

 ―NECグループと一体となった事業のほか、全国拠点網を生かした自主事業を推進していますが、進捗はいかがですか。

 杉山社長 自主事業は統合当初から重点施策として掲げてきたが着実に伸びてきた。クラウドはアマゾンのAWSやセールスフォース・ドットコムが好調だ。自主事業を全体売上げの3分の1まで増やしたいと考えており、DXを軸に約300人の営業とマーケティング部門との連携で提案を進めていく。

 現在はマーケティング部門が推進するデジタルマーケティングの取り組みで効果を上げている。自主事業比率は現状15%程度だが、21年度には20%まで引き上げたい。

 ―20年の戦略は。

 杉山社長 統合から6年になる20年は、次の成長に向けてかじを切るべく新たなビジョンを策定できるようにしていきたい。30年に当社はどのような姿になっているかを考え、次の5年で打つべき施策を導き出していく。今後、DXの流れがさらに加速するとともに、働き方改革への取り組みが進むと見られる。その中で技術者の在り方、顧客との関係性の在り方なども再度見直していく。

 事業面では自主事業の強化に取り組む。優良顧客約100社に一層密着した提案活動をすることで、課題をデジタルで解決できるようにしていく計画だ。例えば、働き方改革を切り口にした基幹システムの構築に対し、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)といったDXを組み合わせた訴求を進める。