2023.06.22 日立株主総会、製造効率化で半導体産業を支援 経営陣が表明

日立製作所の株主総会で質疑に応じる小島社長兼CEO=21日、東京都文京区

 日立製作所は、国内半導体産業の競争力向上を支援する考えを表明した。日立が21日に東京都内で開いた定時株主総会で、小島啓二社長兼CEOらが、製造工程の効率化などを通じて半導体産業の再興に貢献する意欲をにじませた。日立グループが一体となって、「デジタル」「グリーン」「イノベーション」を柱にグローバル成長を追求し、株主を含むステークホルダー(利害関係者)に還元する方針も示した。

 経済安全保障の観点からの半導体関連投資が日本で活発化する中、株主総会で半導体を巡る経営姿勢を問う質問が浮上。小島社長は「半導体の製造装置や検査装置は日立ハイテクという子会社が中心となって世界で活躍している状況で、それをさらに強くしていく」と答えた。

 森田守執行役専務は「半導体の製造に関しては、少ない資金で多くの製品ができるようなプロセス改善を中心にノウハウ・技術を提供していくという貢献の仕方を実施している」と語った。

 トヨタ自動車やソニーグループなどの国内主要8社が共同出資して設立した次世代半導体の国内生産を目指す「ラピダス」について、日立は現時点で出資していない。ただ、日立ハイテクが中心となって、競争力強化が求められる日本の半導体産業を後押しする姿勢を示した格好だ。

 また小島社長は、日立グループが目指す姿と成長戦略についても説明。「これまでの事業ポートフォリオ改革による経営基盤づくりの段階から、オーガニックな成長の段階へとシフトしている」と述べた上で、成長の原動力と位置付ける三つの柱に言及。中でもデジタルについては、DX(デジタルトランスフォーメーション)需要の拡大を追い風に顧客と価値を協創する「ルマーダ」事業を拡大する戦略を重視した。さらに「ルマーダが日立グループのあらゆる事業と連携することで、社会イノベーション事業のグローバルな拡大と高収益化に貢献していく」と力を込めた。