2023.06.27 【複合機&プリンターソリューション特集】商業印刷のデジタル化

富士フイルムBIが省人化に向けて提案する印刷用紙ハンドリングロボット

コニカミノルタはAccurioJetで印刷市場を開拓コニカミノルタはAccurioJetで印刷市場を開拓

各社、DX提案に注力

成長分野に位置付け、活発化

 商業印刷市場でも、デジタル化が本格化。複合機各社では商業印刷向けデジタルトランスフォーメーション(DX)の提案に注力する。商業印刷はネット購買が拡大する中、市場環境は厳しいものの、一方でニーズの多様化に対応した多品種小ロット印刷需要などデジタル印刷は着実に拡大、年間2桁の成長も見込まれている。各社では、商業印刷のデジタル化を成長分野と位置付け、DX化などソリューション提案を活発化させている。

 富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、「Add value from DX」をコンセプトにパートナー企業と連携して、DXエコシステムを構築し、印刷業界とブランドオーナーへDXサービスの提供に注力している。

 同社グラフィックコミュニケーション事業本部DX事業部の鈴木孝義部長は「印刷業界は、Webへのシフトなどビジネスの中身が変化している。印刷市場全体は、厳しいが、デジタルサービス分野は成長市場だ」と、市場動向を読む。

 こうした中、「お客さまの経営課題に取り組み、DXを支援していく。コロナ脱却後もコロナ前には戻らないが、アナログ印刷が減少する中で、DXにより新しい時代に対応した業務改善を提案していく」(鈴木部長)方針だ。

 具体的には「スマートファクトリー」「マーケティングDX支援サービス」「トランザクションサービス」にフォーカス。「最適コストで効率的な生産環境の構築の実現、新規需要創出のために印刷ビジネスを起点にした付加価値提案を行っていく」戦略だ。

 スマートファクトリーは、大量印刷を前提とし、オフセット印刷を中心とした従来の生産環境の課題である①各工程が個別に管理され全体最適の観点を持った工程管理が困難②各業務が熟練技術者に依存(属人化)し、標準化が困難③時間と手間を要する工程間作業の可視化・管理が困難、などの解決を目指す。

 「Revoria One Production Cockpit」により、さまざまなメーカーの設備からなる生産工程の進捗を統合的に可視化・分析し、工程改善を図り、最大40%の工数削減を目指している。

 もう一つが、顧客接点(店舗・Webサイト・デジタル広告など)から得られるデータを統合、可視化、分析し、企業のマーケティング領域のDXを支援する「Marketing Cockpit」。同社のクラウド上に開発したシステム基盤を使い、データの統合・可視化・分析をサービスとして提供する。

 また、電子帳簿保存法や、今年の10月には導入されるインボイス制度などに対応するため、トランザクションDXサービスとして、TOKIUMの請求書クラウドサービス「TOKIUM インボイス」をサービス提供開始している。

 コニカミノルタジャパンでは、「AccurioJet」に注力。また、高速デジタルラベル印刷機「AccurioLabel 400」の販売を開始した。国内ラベル印刷市場は、ニーズの多様化などを背景に、デジタル化による成長が見込まれている。同社はこれまでのミッドレンジに加え、新たにハイエンド機を投入、ハイボリューム領域で攻勢をかける。

 また、商業印刷ビジネス(プロフェッショナルプリント事業)で、「創注・受注拡大支援」と「生産性向上支援」の2軸でDXを推進、印刷業界のビジネス成長と収益力向上を目指している。

 デジタルマーケティングに対応した取り組みでは、コニカミノルタジャパンでも、プリントメディア連動のデジタルマーケティングを提供するクラウドサービス「Printパル」を、印刷会社の営業スタイルの変化を支援するサービスとして提供している。