2023.07.11 【家電総合特集】パナソニック くらしアプライアンス社 松下理一社長
迅速対応しシェア挽回に全力
ME制で開発の商品、積極投入
2022年度は、為替、原材料の高騰、半導体など部品不足、加えて上海ロックダウンの影響が大きかった。電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機は春先から夏にかけての新製品導入期に実質3カ月ほど供給できず、想定を超えた外部環境悪化の影響を受けた。
こうした中でも体質強化に取り組み、調達や固定費などコスト・経費の絞り込みを進めたほか、商習慣改革など、ほぼもくろみ通りに進捗(しんちょく)した。中・韓メーカーなどグローバル競合他社と比べて減益幅は比較的軽微で、踏ん張れたと思う。
特に流通改革では従来の商慣習の改革に努め、新しい販売スキームに流通からのご理解も得て取り組んだ結果、ドラム洗やドライヤー、卓上食洗機など競争力の強い、顧客価値の高い商品は値崩れを最小限に抑えられた。一部シェアを落とした商品もあるが、かなりの部分で打ち返しを図れたので23年度は収益挽回に取り組む。
商品的には、液体洗剤・柔軟剤自動投入機能搭載の洗濯機がシェアを伸ばしたほか、ナノケアドライヤーの最上位モデルEH-NA0Jがヒットした。
また、スリム卓上食洗機SOLOTA(ソロタ)も販売が好調で、サブスクでも想定の2倍の申し込みがあり、新しい需要を掘り起こすことができた。
企画から市場導入まで迅速な対応を図るマイクロエンタープライズ(ME)制を取り入れて開発した商品の手応えは十分ある。
一方で引き算の商品企画ができていない従来通りのモノづくりの商品ではシェアを落とすものもあった。ただ、これらの商品も今期、市場ニーズに迅速な対応を図るモノづくりに取り組み、シェアを挽回できている。
23年度は、コロナ禍での巣ごもり需要の反動もあり国内需要は前年度比95~97%と見ている。新しいセグメントの商品投入など、狙い目によって伸びるものは多いだろう。外部環境の厳しさは22年度より緩和する。
今後はシェア挽回に全力を挙げる。ME制で開発した商品は23年、24年にかけて積極的に投入していく。指定価格で在庫リスクをメーカーが負う新販売スキームの対象商品も、現状の3割からさらに構成を高める。これらの対象ではない商品も製販一体で対応するモノづくり体制を構築し、市場に迅速に対応することでシェアを挽回していく。
また部品調達や設計の面で、SCM改革、ECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)改革とDX化でコスト・オペレーション力をつけ、国内モノづくり基盤を強化する。顧客インサイトを掘り抜いたパナソニックらしい商品を投入し、需要を創造する。