2023.07.11 【家電総合特集】エコキュート

カーボンニュートラル実現、電気代削減に効果の高いエコキュートが注目

ZEH普及加速で導入進む

買い替え需要も顕在化

 カーボンニュートラルの実現など地球環境への配慮、また近年では電気代高騰を背景とした節電・省エネニーズの高まり、さらにはレジリエンスなどの観点から家庭用ヒートポンプ給湯機「エコキュート」が注目されている。

 カーボンニュートラル実現に向けて、これから住宅分野では断熱性能が高いZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の普及が加速していく。エコキュートは、このZEHと相性のよい給湯機器としても導入が進んでおり、今後着実な市場成長が見込める。

 エコキュートは、ヒートポンプ技術を活用して、大気の熱を有効に使い、効率よく湯沸かしする給湯機だ。ヒーター式の電気温水器と比べ、電気代は3分の1に抑えられる。

 家庭における給湯の省エネを実現する機器として、2001年に初めて商品化された新しい商品分野であり、01年度からの累計出荷台数は、22年3月末で、800万台以上に上る。

 日本冷凍空調工業会のまとめによると、22年度は、出荷台数が70万台強となり、前年度比では15.9%増、また年間で過去最高の出荷台数を記録した。メーカー各社も前年増で推移するなど手応えを感じている。

 エコキュートの需要は、東日本大震災を機に生じた電力不足で一時的に苦戦した時期を除き、16年度以降は回復・拡大局面に入っている。

 カーボンニュートラルの実現に向け、家庭におけるエネルギー消費の多い給湯分野の省エネにつながる機器として注目されたほか、初期のオール電化ユーザーの買い替え需要が顕在化していることが、拡大の背景にある。

 また近年、ZEHの導入が伸長しており、大手ハウスメーカーでは現在新築の6割強がZEHとなっており、今後さらにこの構成比は拡大すると見られるが、ZEHに導入される給湯設備の約7割がエコキュートとなっている。

 FIT(固定価格買取制度)期間が終了した、いわゆる卒FITの太陽光発電ユーザーが19年度以降増え、2022年度には134万戸に拡大。このため着実に「電力の自家消費」ニーズも強まっている。

 エコキュートは効率的な蓄熱機器であり、昼間の太陽光発電の余剰電力を使ってお湯を沸かすことで、電気代の節約になる。

 成長が見込める市場を背景に、各社は商品戦略を強化、給湯圧の高さ、省家事機能(配管自動洗浄など)、安心・安全性の向上(耐震性能など)など、快適性能、使い勝手に至るで、市場ニーズに応えた商品開発に力が入っている。