2023.07.11 【家電総合特集】BDレコーダー

「推し活」利用を訴求するPOP

機能比較やHDDとの違いの比較も機能比較やHDDとの違いの比較も

「推し活」需要の取り込み活発

使い方の変化に対応

 ブルーレイディスク(BD)レコーダーは、好きな俳優やアニメキャラなどを推すための「推し活」需要の取り込み提案が家電量販店の店頭で盛んだ。全体需要は縮小傾向が続いているため、録画しておいた番組をスマートフォンから見るなど新たな視聴スタイルへの対応とともに、需要喚起につながる提案をメーカー各社は加速している。

 番組を録画して好きな時にテレビで視聴する-。そんなBDレコーダーの基本的な使われ方が最近は変化してきた。ネットフリックスなどの動画配信サービスや、YouTubeといった動画共有サイトの普及拡大が背景にある。

 インターネットに接続すればいつでも好きな時間に視聴できる動画配信サービスの普及は、視聴デバイスの主役をテレビからスマホやタブレットに変えつつある。同時に、テレビ番組のコンテンツが陳腐化してきたこともあり、若年層を中心に動画配信サービスやYouTubeなどの利用傾向が強まった。これらの動画は保存する必要がなく、いつでも見れるため、「録画して保存」といった概念も希薄になりつつある。

 実際、その傾向は統計にも表面化してきている。電子情報技術産業協会(JEITA)の統計によると、BDレコーダーの国内出荷台数は、2022年(1~12月)で前年から2割以上減少し、119万台となった。ただ、4K放送の時代へと突入したことで、レコーダーでも4K録画への対応が進んでおり、対応機種の比率は高まっている。とはいえ、今年に入っても前年割れの状態が続いている。

 JEITAの中長期予測でも、世界的な傾向として「動画配信サービスの世界的な普及によるBD需要の減少が進んでいる」と指摘している。27年におけるBDレコーダーの日本市場の予測は85万台と、21年からは半減を予想。BDプレーヤーと合わせても120万台の規模になると見る。

 ただ、BDレコーダーに対する一定需要は確実にあり、使われ方も変化してきている。パナソニックによると、「推し活」のためにレコーダーを使う人が8割に達するという結果が調査で浮き彫りになっており、こうした使われ方を後押しする機能の実装や店頭訴求が重要視されるようになってきた。

 例えばパナソニックは、推し活ターゲットになりやすいドラマとアニメで、90日分を自動録画・消去する機能を搭載した新型を5月に発売している。「1クール」を録画してくれる機能で、注目していなかったドラマやアニメが回を重ねるごとに話題となり、「1話から視聴したい」といったニーズにも応えられるようにすることを狙ったものだ。

 専用機ならではの機能の一つとして、放送番組の全録に対応する機種も少なくない。この機能も推し活に役立つが、最近では、時間に対する効果・満足度を表すタイパ(タイムパフォーマンス)を意識した機能も目立ち始めている。1.3倍速や1.6倍速での早見再生や、次のエピソードを自動再生する機能がそうで、これらは動画配信サービスでは一般的な機能。動画配信サービスのような使い勝手をBDレコーダーでも実現しようとする動きが出てきている。

 また、テレビに接続する外付けハードディスクドライブ(HDD)で録画できる機種もある。動画配信をはじめとする録画環境の多様化も、BDレコーダーの需要には直接的に影響している。

 こうした中、メーカー各社に求められるのは、BDレコーダーの使い方の提案だ。推し活もその一環だが、内蔵HDDの容量拡大を受けて、デジタルカメラやビデオカメラで撮影した写真や動画などのデジタルコンテンツを保存する共有ストレージとしての提案も行われている。HDDへの保存だけでなく、必要に応じてBDにも録画できる利点をよりアピールできれば、リビングにある大画面4Kテレビで家族との思い出を共有することもできる。

 コロナ禍を経て人々の生活スタイルや価値観は変化した。BDレコーダーも、IoT化を生かした対応はもちろん、QoL(生活の質)を高める機能の訴求が、潜在需要を掘り起こすことにつながる可能性はある。