2023.07.12 【記録計・ロガー特集】チノー 無線ロガー「MZシリーズ」

無線ロガー「MZシリーズ」の測温抵抗体モデル

測定範囲、低温域まで拡大

 チノーのリアルタイム無線ロガー「MZシリーズ」は、用途ごとに長距離無線通信と高速無線通信の二つのモードを自動で切り替えて使用できる。

 受信器とデータロガーで構成。温度測定値をロガーに保存し、メモリー容量は5万3000データ。ロガー内部に保存した計測データは、長距離モードでは通信距離約1キロメートルのLoRa方式で受信器にデータ送信する。高速モードはFSK(周波数偏移変調)方式で、通信距離は約100メートルと短いものの通信エリア内のロガーを自動検知し、高速無線で計測データを収集できる。

 ロガーの使用温度範囲はマイナス25~プラス50度だが、測定温度範囲を低温域まで拡張した。測温抵抗体モデルは測温抵抗体ユニット「MZ-S04N」を用いてマイナス199.9度まで対応。データロガー本体にプローブを接続して使用する。

 サーミスターを外付けするモデルはマイナス40度まで対応。食品などの冷凍輸送には活用できるものの、コロナワクチンではマイナス70度以下の超低温で保管するなど厳格な保冷管理が必要なため、これまでは対応が難しかった。

 厚生労働省のガイドラインは、医薬品輸送中の温度範囲を適切に維持するよう卸売販売業者などの責任を定めている。

 倉庫の温度管理(温度マッピング)も必要だ。医薬品の保管場所全てがモニタリングの対象となり、保管温度を監視するとともに医薬品の貯法に準じた温度にコントロールすることが求められている。

 倉庫内の各所にセンサーを配置し、温度の常時監視で測定したデータを収集・管理するのに無線ロガーが活用されている。

 MZシリーズはデータの欠損を防止する機能を各種備える。

 受信器にはバックアップ用の充電池が装着可能。

 ロガーにはメモリーを2台搭載し、停電や障害時でも測定値を保護するため、データの信頼性を確保できるのが特長だ。

 MZシリーズの新機能として、事業所の部署単位での電力監視の用途に、無線で電圧やパルスを取り込めるプローブも開発中だ。